ミルクアレルギーについて vol.2

前回の続きになります。

血液検査の解釈について

卵アレルギーと同じでミルクもプロバビリティーカーブが発表されています1)。お子さんの採血結果を表にあてはめて、どれくらいの確率でアレルギー症状が出るのかを推定します。

表の見方は卵アレルギーVol 1を参照ください。年齢毎に症状の可能性が下がっていきますので、同じ数値であっても悲観することはありません。慎重にミルクの摂取量をあげていきましょう。

そして上の図2)は負荷量を決めるのに役に立ちます。卵と一緒ですね。採血の数値と比較しどの量まで飲むことが出来るのかの参考にします。

また最近報告された上の表の論文3)では、ミルクを摂取して症状が出る可能性がどれくらいなのかを推測できるという表が報告されました。
すごく心配な方は10%が反応する量でまず試してみるというのもよいかもしれません。

除去解除について

ミルクアレルギーのゴールについてです。
アレルギーの除去解除の目安は牛乳200ml摂取で症状がでないこととされています。
ですが、給食等では牛乳瓶1本(200ml)に加え、クリームシチューやパンなどが同時に出る事もあります。
そのため200ml以上を摂取し問題ないことを確認するほうがより安全であることは間違いありません。

ですが、ミルクアレルギーの児はほとんど牛乳瓶1本を飲みたがりません笑。
心理的な面を考慮すると200ml飲む事自体が本当に必要なのかなと考えています。

同級生と一緒に給食を食べる際、牛乳瓶を1本飲まないといけないような状況であれば200ml以上を飲む必要があります。
状況にあわせて除去解除をご家族と一緒に決めて行きます。

食物経口負荷試験について

卵と同様、食物アレルギー診療ガイドライン2016(2018年改訂版)に沿って説明します。下記表をご覧ください。

摂取量牛乳
少量(low dose)3ml
中等量(medium dose)15-50ml
日常摂取量(full dose)200ml

段階的にミルクの摂取量を増やしていきます。
目標量まで摂取することが出来れば、次の記事で紹介する栄養指導における代替食品に変更してミルクの継続摂取が可能となります。

基本的にはミルクの摂取が基本になります。どうしても味が嫌な場合はヨーグルトとなります。
細かい話ですが、タンパク質の含有量の関係から、牛乳50mlがヨーグルト48g相当と考えてください。(ほぼ同じでよいとは思います)

以上です。次回に続きます。

写真は娘がイヤイヤして橋の上で寝そべっているものです。
1歳半健診で子どものイヤイヤの相談をよくうけます。


イヤイヤは自我の目覚めです。親を困らせますが精神的に成長している証です。成長に欠かせない大事な時期なのです。

子供は、言うことは理解していても、大人のように言葉で表現できないもどかしさがあります。

そのため、事前に出来るだけ時間に余裕をもてるよう行動の計画をする、そして出来るだけ子どもの目線に立ち、イヤイヤの原因を考えて付き合ってあげることが大事だと思います。

、、、とは言え、毎日大変だと思います。

いつか絶対終わりが来ますし、何をしてもどうしようもない時もあります。時には、無になって逃げることも大事です。笑 

我が家の長男も絶賛イヤイヤ期です。頭を抱えるほど激しいです。笑 連鎖して長女もイヤイヤしてきます。笑 

皆さん大変ですが、一緒に乗り越えましょう。

きっとこんな日々が懐かしくなる日がくるはずです。

1) Komata t, et al. : The predictive relation ship of food-specific serum IgE concentrations to challenge outcomes for egg and milk varies by patient age. J Allergy Clin Immunol 199 : 1272-1274, 2007.
2) Yanagida N, et al. Butter Tolerance in Children Allergic to Cow’s Milk. Allergy Asthma Immunol Res. 2015 : 7 (2) : 186-189
3) Fukuie T, et al. Effect of specific IgE on eliciting dose in children with cow’s milk allergy. 2020 : 8 (10) : 3660-3662.e2.

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能登 孝昇
2023年8月まで氷川台のと小児科クリニック院長を務めました。 2024年4月から赤塚にてサンスカイのと小児科クリニックを開業しました。 今後もこどもに関しての情報と、私の今後について発信していけたらと思います。