新型コロナウイルス遺伝子検査機器を購入しました

アボット社のID NOWという厚労省承認済みの新型コロナウイルス診断機器を購入しました。
順天堂練馬病院でも2021年3月に採用したようです。
本日検査試薬が届きますので数日内に検査が開始出来ると思います。

(画像はアボット社のホームページから引用)
この機器は、13分でPCR検査と同等の結果がわかる優れた検査機器です。
なぜこの機器を購入したのか、どのような機器なのかを説明します。

なぜこのタイミングでの機器購入なのか

デルタ株の出現前までは小児の新型コロナウイルス感染は重症化しないということがわかっていました。しかし、デルタ株の出現で今までの概念が少しずつ変化してきています。
10歳未満の小児例においても、デルタ株感染で重症化し、人工呼吸器を使用する患者が8月に入り少ないながら出現してきました。
これは単純に感染力が今までよりも高いことで、小児の患者数が多くなり、たまたま少数の小児例で重症化する症例がでてきただけかもしれません。
しかし、デルタ株が小児に対しても重症化させる何かの因子を保有している可能性も否定できません。

当院では、発熱外来を昨年の4月から行っており、もともと外部の検査機関に委託しPCR検査を行ってきました。
しかし、検査数の増加により8月末から検査翌日に検査結果が出ない状況になってしましました。
そして連日のニュースでもやっている通りほとんどが家族内感染です。

・検査をしてもすぐに結果がでない。
・小児例でも重症化する症例がでてきた。
・小児から成人へ感染し、保護者が重症化する可能性がある。

あらゆる意味で早期発見が重要な局面にきてしまいました。
もともと5-15分で診断が確定する迅速抗原検査は当院でもありましたが、小児ではウイルス量が少なく陰性となるためやはりPCR検査をする必要がありました。
そこでPCR検査と同等の結果が13分で判断出来る新規の検査機器を導入することに決めました。

ID NOWの特徴

この機械について説明します。
詳細な説明を確認したい場合は下記のアボット社のホームぺージを参照ください。

https://www.globalpointofcare.abbott/ja/product-details/id-now-covid-19.html

この機械の特徴はなんといっても「13分で結果が出る」これにつきます。
陽性であれば5分で出ます。
従来のPCR検査は数時間以上検査時間がかかるため、当日の結果報告が出来ませんでした。ですがこの機器であれば検査してすぐに結果をお伝えすることが可能です。

NEAR法であり、PCR法ではない

この機械はよく聞くPCR法ではありません。
NEAR法という遺伝子増幅方法を用いているため短時間で結果がでます。
PCR法でないため、大丈夫なのかと心配される方もいらっしゃると思いますが、PCR法と比較して陽性一致率(コロナ陽性を正しく陽性と診断できる確率:感度) 94.7%、陰性一致率(陰性を正しく陰性と診断できる確率:特異度)98.6%とほぼ同等の精度です。
そのため、PCR法と同じくコロナウイルス陰性証明に使用することが可能であり、陽性の判定では確定診断となります。

ただし、これらのデータは成人の結果であることから小児に対しての評価は必要であり、追加の臨床研究が必要であると私個人は考えています。
ですが、抗原検査より陽性一致率、陰性一致率が上がることは間違いないと思っています。

唾液で検査出来ない

この検査は唾液を使用した検査は出来ません。そのためインフルエンザの検査と同じく鼻にスワブをいれる必要があります。唾液の検査を希望される方は従来通り外部の検査機関に提出します。

まとめ

昨今のデルタ株による感染拡大を踏まえ、当院でも小児の発熱患者に対し積極的に新型コロナウイルスの検査をおこなっていかないといけない状況になってしまいました。
2020年4月から発熱外来を継続していますが、2021年秋冬を乗り越えるため、子どもの学校生活を守るためにも徹底した検査が必要な状況です。家族、職場、学校などの濃厚接触者を増やさないためにも大事な取り組みであると考えています。

今やれることを全力で取り組んで参ります。

以上です。
次の記事ではコロナのワクチンについて説明しようと思っています。
状況の変化に合わせて、当クリニックでも小児に対し9月下旬から少しずつコロナワクチンを接種を行う予定です。
発熱外来をやりながらのワクチン接種なので大変ですが、少しずつ準備を進めていきますのでお待ちください。

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