子どもの眼に関すること。スポットビジョンスクリーナーについて

当クリニックで 3月9日から、スポットビジョンスクリーナー(手持ち自動判定機能付きフォトスクリーナ装置 Spot vision screener)を導入しました。
6-7か月健診、MRワクチンの接種時、1歳半健診の児に無料で行います。
また親御さんの希望があれば、どの年代のお子さんでも適宜検査を行います。

そこでこの記事は、子どもの眼に関する事、スポットビジョンスクリーナーについて説明をしようと思います。

まずどんな検査なのか結果を見てみましょう

検査の際は瞳孔を広げるため少し暗い部屋でおこないます。
音と光に夢中になっている間にすぐに終わります。痛みは伴いません。
親御さんの膝の上にお子さんを乗せてもらい検査をします。

結果は私の息子のものです。上記のような画面で結果がでます。
屈折率に異常なく、斜視もありませんでした。

お子さんの眼に関して詳しく知りたい方は下記の内容を確認ください。

子どもの眼の発達について

産まれたばかりの赤ちゃんは物がほとんど見えていません。生後3か月頃で視力は0.05といわれています。
1歳で約0.2、2歳で約0.4、3歳までに視力は急速に発達し、1.0の視力に達するといわれています。
6歳では1.0から1.2程度となります。

光の屈折に関しては、乳児期は遠視のことが多いといわれ徐々に遠視が正視になっていきます。

ピントの調節は、生後2か月頃から目標の距離にあわせて調節が出来るようになり、生後4か月でかなり正確となり、生後10か月で成人同様になります。

子どもの眼の発達は急激に発達し、ピークは1歳6か月頃で、8-10歳までは発達すると考えられています。
眼の発達には適切な刺激が必要で、年齢が低いほど(特に3歳頃まで)刺激に対しての発達が早いといわれています。
そのため、もし発達に異常がある場合は早期発見することがその後の視機能を維持する上で重要となるのです。

弱視について

弱視は視力の発達が障害された状態をいいます。
弱視の頻度は約2%といわれており、弱視による失明率は片眼失明の40歳以下の原因1位といわれています。
弱視の原因はさまざまですが、大きくわけて3つあります。

1つ目は遠視や近視、乱視といった屈折異常です。
光は角膜とその奥の水晶体という部位で屈折して、眼の奥の網膜という膜に到達し、脳に信号が送られ光を感じています。
この屈折が片方のみ異常あり、片方の眼のみが弱視となってしまう場合の頻度が多く、不同視弱視と呼ばれます。
2つ目は斜視です。これば後程説明します。
3つ目は白内障や外傷等により網膜より前の部分に光を遮断する何かの原因がある場合におこります。
弱視の原因の9割以上が屈折異常斜視になります。

斜視について

斜視とは、物を見ようとしたときに片眼は正面を向いていても、片方が違う方向を向いている状態です。 内側によっていれば内斜視、外側によっていれば外斜視と呼ばれます。
斜視の頻度は約2%といわれています。

斜視の原因ですが、眼球を動かす筋肉や神経に病気があると眼球が動かなくなるため眼の位置がずれて斜視になります。

眼は近いものを見るとき、ピントの調節をします。このとき両眼は内側に寄ります。
遠視の場合、近くをみるとき、調節の力がより強く働くため内側に寄って内斜視となります。
これを調節性内斜視といいます。眼鏡をつけることで治療します。

斜視の原因のほとんどが眼を動かす筋肉や神経の異常、もしくは遠視によるものですが、時に全身検査や頭部MRIを行うこともあります。

現在問題となっているのは、スマホやタブレットを近くで長時間みることで内斜視になるお子さんが増加しています。スマホの使い方に関しては後日記事にする予定です。

気をつけたいのが、小児では「偽斜視」といって、鼻の根本が低く、広いため、全く問題ないのですがあたかも内斜視のようにみえることがあります。
そのため乳幼児期の内斜視は様子をみましょうという事が多いのも事実です。

スポットビジョンスクリーナーについて

弱視の問題点は見た目に分かりにくいため、本人もご家族も気がつきにくいということです
弱視は発見できれば眼鏡をつけたり、弱視訓練により治療可能ですが、発見が遅れればその後も視力障害を残したまま生活をすることになります。

3歳児健診の際に自宅で行う視力検査と問診で異常がある場合、精査となります。(この場合、視力は0.5以下です)
しかし、うまく検査が出来ていない場合もあるため、各自治体で3歳児健診でスポットビジョンスクリーナーが導入されるようになってきました。
そのためお子さんが3歳以上の親御さんは見たことがあるのではないでしょうか。

スポットビジョンスクリーナーは屈折検査や斜視検査を行うための検査機器になります。
瞳孔に向けていろいろな角度から光を出し、網膜に反射した光を機械が検知することで屈折異常、斜視の有無を検出します。
そのため弱視の原因の大半が検出出来ることになります。

スポットビジョンスクリーナーの検査が終わらない場合、網膜からの正常は光の反射がないことになりますので、白内障などの疾患の可能性があります。
すみやかに眼科の先生に診ていただきます。

屈折異常が検出された場合、現時点で国内の基準値はなく暫定値しかありません。
そのため再検査をおこないながら経過をみていくことになります。

スポットビジョンスクリーナーは斜視に関して感度、特異度が高いとされています。
そのため斜視の異常が検出された場合は眼科の先生に診ていただくことになります。

注意点としては、この機械では視力測定は出来ません
また現時点では3歳未満の精度に関してははっきりとしたことはわかっていません。

当クリニックでは6-7か月健診から検査をしていきます。
正常であれば心配をせずに済みますし、異常がでれば眼科の先生に早期介入することが出来るからです。
もしスポットビジョンスクリーナーで異常の指摘があった場合、基本的には眼科医の診察をうけてもらいます。

先日の小児診療多職種研究会でもスポットビジョンスクリーナーの発表がありました。
会長の倉重先生のクリニックでは、1歳半健診943名に対し異常の判定が出た児は36名(3.8%)、そのうち9名(1%)が眼鏡の着用となったと報告していました。
9名のお子さんは3歳健診での精査を待たずに眼鏡による治療を開始することが出来ました。
スポットビジョンスクリーナーがなければ3歳まで見つからなかったと思います。

このスポットビジョンスクリーナーは氷川台のと小児科クリニックを開設する時から1番導入したかった機器です。氷川台にお住まいのお子さんの弱視を見逃さず、少しでも早く見つけてあげたいと思っていました。
開設して1年以内に導入出来て安心しています。

写真は静岡で以前に撮影した河津桜です。
今年は暖冬のため河津桜の開花は早かったようです。
毎日新型コロナウイルス関連の暗いニュースだらけですが、春はもうすぐです。
日本全体が今、一生懸命踏ん張っている状態です。私も自分の出来ることを全力で頑張っていきますので、よろしくお願いします。

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