小児の肥満について vol.1

今月の練馬区の小児生活習慣病検診を担当することになりました。(本日の担当が私です笑)
検診日だけではとても説明しきれないので、ブログを利用して補足していきたいと思います。

基本的には小児肥満症診療ガイドライン2017というものが発行されており、ガイドラインに準拠して診断と治療をおこなっていきます。1つずつ確認していきましょう。

肥満と肥満症の違い

健康障害のない体重が重いだけであるもの。これは「肥満」です。

健康障害を合併し、体重が重い状態を「肥満症」と定義します。
生活習慣病のリスクとして治療が必要な状態で、疾患として対応します。

肥満の判定について(肥満度について)

まず小児肥満症の適用は6歳からになります。

肥満の判定は肥満度というものでおこないます。
成人でよく見るBMI(Body Mass Index:体重(kg)/身長2(m))ではありません。

計算の仕方は、

肥満度={(実測体重-標準体重)/標準体重}×100 

で20%以上となるものを肥満と定義します。
20-30%未満を軽度、30-50%を中等度、50%以上を高度と分類します。
なので、肥満度が高い場合は小児生活習慣病検診に進むことになります。

実際の測定はスマホで「肥満度、計算」等で検索すると簡単に調べられるサイトが出てきますのでそこでチェックしてみましょう。
その他には、公益財団法人福岡県メディカルセンターが作成した下記のサイトからエクセル表をダウンロードしていただくことでも数値を確認出来ます。体型が気になる方はぜひ試してください。

https://www.fmc.fukuoka.med.or.jp/fmc/shinken.asp

小児生活習慣病予防検診でやること

1:まず糖尿病の既往を確認します。
糖尿病の既往があれば、そのまま専門医の先生の継続フォローとなります。

2:身体測定を行います。
身長、体重測定をおこない肥満度を確認、ウエスト周囲長を測定しウエスト身長比を確認します。
内臓脂肪がおおいタイプの肥満に関してはウエストの周囲長が参考になります。

中学生は80㎝以上、小学生は75㎝以上、ウエスト身長比(ウエスト周囲径/身長)0.5以上で内臓脂肪蓄積の疑いとします。

3:血圧測定を行います。
135/80mmHg以上で高血圧として対応します。
(よく勉強されている親御さんは小児メタボリックシンドロームの基準は125/70mmHgではないか、年齢毎に違うのではと質問される方がいます。もちろん年齢毎に基準は決まっていますが、おおむね135/80mmHg以下は経過観察として次回の健診でのフォローとなります)

4:採血を行います。
総コレステロール(220mg/dl以上)、HDLコレステロール(40mg/dl未満)、nonHDLコレステロール(150mg/dl以上)、HbA1c(6.5%以上)、ALT(30以上)で判定します。

採血結果のカッコ内の数値に当てはまる、高度肥満がある、高血圧がある、中等度肥満に加えて内臓脂肪蓄積が疑われると専門医へ紹介となります。

以上になります。次は肥満症とメタボリックシンドロームの診断基準に続きます。

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