小児生活習慣病専門外来を開設するにあたり、InBody270Sという機器を購入しました。

詳細を確認したい方は下記InBodyの本サイトから確認ください。
今回の記事で伝えたいことまとめると、
体重が増えてしまっても、筋肉量が増え、体脂肪量が減っていれば食事、運動療法の効果はある!とInBodyを使って伝えたい。
になります。
頑張って運動をしても体重が増えてしまい落ち込んでしまうお子さんを小児生活習慣病外来では多く経験します。
ですが、1番大事なことは体脂肪量が減ることです。体脂肪を正確に測定するためにInBodyが必要です。
ただ、この機器は肥満のお子さんにだけ使うことを想定していません。
一見太っていなくても体脂肪量が多い(隠れ肥満)ケースもあります。
1度体脂肪量を測定をして体の状態を確認し、生活習慣病を小児のうちに予防する機会をクリニックからつくっていきたいというのが私の本当の願いです。
では、このInBodyがどのような機器なのかを従来の評価項目と比較して説明していきたいと思います。
この記事の目次
従来の肥満に対しての評価項目について
肥満の評価は基本的には身長、体重、ウエスト周囲長で評価されます。つまり身体計測のみなのです。
肥満の判定は肥満度というものでおこないます。
成人でよく見るBMI(Body Mass Index:体重(kg)/身長2(m))ではありません。
計算の仕方は、
肥満度={(実測体重-標準体重)/標準体重}×100
で20%以上となるものを肥満と定義します。
20-30%未満を軽度、30-50%を中等度、50%以上を高度と分類します。
なので、肥満度が高い場合は区の小児生活習慣病検診に進むことになります。
そして、ウエスト周囲長を測定しウエスト身長比を確認します。
内臓脂肪が多いタイプの肥満に関してはウエストの周囲長が参考になります。
中学生は80㎝以上、小学生は75㎝以上、ウエスト身長比(ウエスト周囲径/身長)0.5以上で内臓脂肪蓄積の疑いとします。
これらの測定は非侵襲的で痛みを伴いませんのでお子さんにとってはよいのですが、大きく2つ問題が生じます。
身長、体重、ウエスト周囲長測定で生じる問題について
- ウエストの周囲長はどの部分からでも測定することができる(お腹ひっこめたりして数値が変動する可能性もある)ため、データには一貫性がない。
- 身長が伸び、運動量が増え、食事内容が改善されているにも関わらず、体重には変化がない、もしくは増加するということをよく経験します。
そのため、身長、体重、ウエスト周囲長の測定のみでは、運動療法、食事療法のモチベーションを維持することが難しい現実がある。
この2点になります。
お子さんを含むご家族の頑張り(運動療法、食事療法)をしっかりと数字で示すためには、身長、体重、ウエスト周囲長以外の指標、具体的には筋肉量や体脂肪量の変化を測定しお伝えすることで、より達成感をもって継続することができます。
たとえ体重は増えても、体脂肪が減っていることが実感できれば、やっていることの方向性が間違っていないことをご家族と本人が理解し、運動療法、食事療法を納得して行う、継続することが可能となります。
繰り返しとなりますが、大切なことは、体脂肪量の減少です。
次は、実際のInbodyの結果がどのようにしてでるかを見ていきましょう。
InBody測定結果について
本サイトから引用した、実際の測定結果が下記になります。

この結果用紙をお渡しします。
上から注目ポイントをお伝えしていきます。上から2番目、筋肉-脂肪をご覧ください。

体脂肪量がどれくらいなのかを測定することが1番大事です。
先ほどもお話しましたが、成長とともに筋肉量が増えますから、体重は増えます。体重は増えているが、筋肉量も増え、体脂肪量が減っているかをこの項目で確認します。

体脂肪量を比率としたものが体脂肪率になります。
ここでBMIが標準であっても体脂肪率が高ければ隠れ肥満となるため「治療が必要」という判断となるかもしれませんし、BMIが高くても体脂肪率が低く、筋肉量が多ければアスリートタイプであるため「治療を必要としない」というような評価がここで確認することが出来るわけです。

次に成長曲線です。今までのデータをいれていただくと、身長と体重の成長の推移を追うことが出来ます。

先ほどの筋肉量と体脂肪率を時系列にしたものが6番になります。
体重は増加、筋肉量も増加、体脂肪率が低下であれば食事療法、運動療法は順調ということになります。
その他右側にもいろいろと記載項目がありますが、大事なポイントは筋肉量と体脂肪量となります。少しだけ紹介してきます。

今まで得られたデータから栄養、肥満評価が行われます。ここで標準になればよいのですがこの評価だけに引っ張られないことが重要です。
注意点:InBodyの計測値は体脂肪であり内臓脂肪ではない
InBodyの計測値は体脂肪であり、内臓脂肪ではありません。成人のメタボリックシンドロームの原因となる内臓脂肪を1番計測したいのですがInBodyでは出来ません。
今後内臓脂肪まで詳細に計測することが出来れば、よりよい評価となるでしょう。
血液検査でコレステロール値をフォローしたりすることはとても重要ですが、小児のお子さんに成人と同じように採血を頻回に行うことはできません。(痛いため)
痛みなく、InBodyで体脂肪量を測定し、自分で結果を確認し、自分で理解することが治療成功のために大切となります。
測定は約30秒、人体に影響はありません

測定時間は約30秒です。
体重計を測定するように、裸足になって計測器の上に立ち、棒をつかめば完了です。身長の情報をいれ、毎回同じような時間帯、状況で測定をすることでトレンドを追うことができます。
(より正確な測定のため、測定前は激しい運動を避け、トイレを済ませておく等の説明があります。)
生活習慣病外来では、毎回の受診でなにかプラスになること、ポジティブな点をお伝えし、栄養療法、運動療法を継続してもらうよう、ご家族と本人のモチベーションアップをはかることがとても重要です。その一助になればよいなと思っています。
まとめ
InBodyの機器について説明をしました。
検査をすること自体は痛みもなく無害ですので、気軽にお使いいただければと思っています。
実際に小児生活習慣病外来が始まりましたら、斜頭症と同じく、一度すべての情報を1つのブログ記事にまとめて発信を使用と思っています。
まずは、9歳で行う日本脳炎ワクチン、11歳で行う2種混合ワクチンの際に希望者にInBodyの計測をしてもらい、自分の筋肉量と体脂肪量を確認するところから運用したいと思っています。
小児の肥満症は高度肥満が完成してしまうと治療しても改善することが難しいことが既にわかっており、いかに予防するかが大事であることがわかっています。
無償で機器を使用してもらい、どのようにしたらこの地域のお子さんの健康が守れるかを検討していきたいと思っています。
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