アレルギー疾患の発生頻度について(疫学について)

本日の乳児健診で「卵を子どもに食べさせるのが怖いです。どれくらいの頻度でアレルギーになるのですか?」と質問をうけました。
「アレルギー疾患の正確な疫学のデータは日本ではないんです」とお答えしました。
ですが、先ほど自宅で調べましたら2020年11月に成育医療センターからエコチル調査のデータを使用した論文1)がでてました(焦)

急いで情報をシェアします!!

エコチル調査とは

エコチル調査とは、日本中で 10 万組の子どもたちとその両親が参加する大規模な疫学調査で、2011 年より環境省が開始した国家プロジェクトです。
赤ちゃんがお母さんのおなかにいる時から 13 歳になるまで、定期的に健康状態を確認し、環境中の化学物質や生活習慣などが子どもたちの成長・発達に与える影響を解明していくというものです。
エコチル調査についての詳細は添付のホームページ2)を参照ください。

1歳の即時型食物アレルギーは7.6%の子どもにみられた。

2011年1月から2014年3月にエコチル調査に協力した妊婦から出生したお子さん92,945 名(すごい!!)の子どもを 3 歳まで追跡しています。
母親の妊娠中から 3 歳まで定期的に実施した自記式のアンケート調査のデータで、アレルギー疾患の疫調査をおこなっています。

原因となる食物を食べてすぐに症状が現れる即時型食物アレルギーは
1 歳で 7.6%、2 歳で 6.7%、3 歳で 4.9%でした。(保護者の申告である点に注意です)

即時型アレルギーの頻度が1番高かった原因は卵であった。

最も多いのが卵アレルギー(1歳で5.3%)、次に牛乳(1歳で2.1%)、小麦(1歳で0.5%)の順番でした。
続きですが、大豆(0.2%)、魚(0.3%)、フルーツ(0.4%)、甲殻類(0.3%)そば(0.1%)、ごま(0.1%)、ナッツとピーナッツ(0.2%)です。(全て1歳時)
生後 6 か月までに卵を摂取開始したのは 6.2%のみであったとのことでした。
(2011年から2014年のデータであるため、2021年現在はもう少し卵を摂取している頻度が高いと思います!)

近年増加の消化管アレルギーについて

1 歳半までに消化管アレルギーは 1.4%の子どもでみられました。
症状は嘔吐が1番多く46.9%にみられました。
原因食物は卵(34.5%)、牛乳(21.7%)でした。

湿疹について

1歳で16.8%、3歳で13.4%に湿疹ありと保護者が回答しました。
湿疹が原因でおきる睡眠障害が週に1日以上おきる頻度は3歳未満の児で0.9-2%で発生しました。

喘鳴について

喘鳴(ゼーゼーする)の有病率のピークは2歳で20.6%でした。
2%の児は3歳で週に1日以上喘鳴による睡眠障害がみられました。

鼻炎について

鼻炎は2歳で24.8%、3歳で25.3%にみられました。(1歳は評価なし)
2歳と3歳の約5%が日常生活に支障をきたしていました。

まとめ

大規模なデータによる疫学調査がおこなわれており、その結果が公表されていました。約10万人のデータをまとめた著者の方は本当に大変だったと思います。。。(想像しただけで嘔気がします)
そのため、本日の健診では「7.6%のお子さんで食物アレルギーがおきる可能性があります。」が正解の回答でした。
個人的には湿疹の頻度はもっと高い印象があります。
また4人に1人は風邪ではなく、鼻炎であることも重要なデータだと思いました。

以上です。

緊急事態宣言がでており、都内で遊ぶにしても城北公園と光が丘公園の2つではさすがに飽きます。
写真は北区にある飛鳥山公園の蒸気機関車です。
ここの公園の素晴らしいポイントは、公園から新幹線が見えることです。

男の子がいる親御さんは1回行ってみてもいいかもしれません。
連結している新幹線が見られる数少ないポイントです。私も含め男子は大興奮です!!

1) Allergy and Immunology in young children of Japan: The JECS cohort. World Allergy Organization Journal. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1939455120303823
2) https://www.env.go.jp/chemi/ceh/ (1月26日アクセス)

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能登 孝昇
2023年8月まで氷川台のと小児科クリニック院長を務めました。 2024年4月から赤塚にてサンスカイのと小児科クリニックを開業しました。 今後もこどもに関しての情報と、私の今後について発信していけたらと思います。