卵アレルギーについて vol.4

前回まででおおまかな説明は終わりです。ここでは補足的な情報になります。

ほかの卵類との関係

ウズラの卵やアヒルの卵といった他の鳥類とは関係があるといわれています。
鶏卵との比較では、オボムコイドで75%程度、オボアルブミンで82-88%の相同性がみられると報告があります1)
そのため、卵アレルギーがあるかたは、ウズラやアヒルの卵を摂取する際は注意しましょう。
逆に、魚卵との関係性はないといわれています2)

ワクチンに含まれている卵の成分について

インフルエンザワクチン、ムンプスワクチン、MRワクチンを製造する際に、鶏卵の成分が混入する可能性があることが指摘されています。
これからの時期、特に気になるインフルエンザワクチンです。
日本製のワクチンでは数ng/mlのオボアルブミンが混入している可能性がありますが、オボアルブミン600mg/ml未満のワクチンで重篤な副反応は起こさないという報告があります3)

基本的に、卵アレルギーでアナフィラキシーになった方以外は予防接種は通常通り接種できます!

またMRワクチンでも卵のタンパクは1ng/ml未満といわれおり、MRワクチン、ムンプスワクチンもインフルエンザワクチンと同様の対応でよいと考えています。(もともとMRワクチン、ムンプスワクチンは添付文書に接種注意者として卵アレルギーは記載がありません。)

よくある質問

加熱卵は食べられるのに卵ボーロ数個で症状がでたと相談されることがあります。
これはオボアルブミンが馬鈴薯でんぶんによって加熱による変性がさまたげられているためと考えられています。
そのため、採血をしても卵白、オボムコイドの数値はあがらず、その他の卵料理も食べられることが多いです。

またオボムコイドは小麦と一緒に食べると抗原性が低下することもいわれています。
オボムコイドと小麦のグルテンが結合することによっておきると言われています。
そのためパンやビスケットは意外と食べられることが多いです。

まとめ

4回にわけて卵アレルギーの説明をしていきました。
・加熱で変性するオボアルブミン、加熱でも安定しているオボムコイド
・卵の加熱によって抗原性が変わること(12-3分の固ゆでゆで卵を使用する。心配な方は20分固ゆでゆで卵を使用)
・食物アレルギーの診断は実際に摂取して症状が出る事を確認する
・採血をする理由について(プロバビリティーカーブの見方について)
・卵1個とマヨネーズが食べられれば除去解除
・食物経口負荷試験について
・食事指導について
・インフルエンザワクチンと卵アレルギーについて
そして、以前にブログで紹介した
・「卵の開始時期について」のPETIT studyでの皮膚炎を予防する考え方
・食物アレルギーは食べられる安全な量を摂取していくのが現在のアレルギー治療の流れ

を説明しました。

卵の摂取を開始する、また摂取量を増やす際は親御さんの不安が特に強いと思います。
ただでさえ、1度症状がでているのに、また症状が出る可能性があること行うのはとても心配なことです。
ですが、ただ心配だからという理由で卵を除去するのは控えてほしいと思います。

卵アレルギーは3歳までに50%学童までに80-90%に除去解除となることが報告されています。安全な量を摂取し除去解除を目指しましょう。
出来るだけ卵の摂取を継続することが出来るよう私も努力して説明したいと思っています。
心配なことがあれば電話でもよいので相談ください。

以上です。

写真は、息子のお気に入りのロケットのリュックサックの後ろ姿が可愛くて撮ったものです。
大切なおもちゃをリュックサックの中に入れて持ち歩いています。

1) 高橋享子ら : 卵アレルギー患者血清によるIgE結合卵白抗原の検索 ニワトリ、ウズラ、アヒル卵の主要タンパク質について. 武庫川女子大学紀要. 自然科学編 50 : 97-102, 2002.
2) Kondo Y, et al. : IgE cross-reactivity between fish roe and chicken egg in patients anaphylactic to salmon roe. Allergol 54 : 317-323, 2005.
3) Erlewryn-Lajeunesse M,et al. : Recommendations for the administration of influenza vaccine in children allergic to egg. BMJ 339 : b3680, 2009.

3 件のコメント

  • お世話になっております。先日、1歳の子の食物アレルギー検査をしていただいた者です。特定の果物を食べた後、数時間後に嘔吐し、体調不良になったことが複数回あったので、検査を受けましたが、陰性でした。今後の除去の程度を考えるため調べていたところ、アレルギーは即時型と遅発型があり、検査方法が異なる、、との情報を目にしました。遅発型の方も検査できればと思っております。不調を言葉で表現できない年齢なので、現時点での子の体質をできるだけ理解してあげたく、そのための一つの参考になればと思います。また、保育園では、食育(好き嫌いなく何でも食べられる子に育てよう)により、アレルギーでないなら原則除去しないとのことで、、、万一遅発型ならばその検査結果がある方が除去など対応してもらいやすい、という事情もあります。
    検査の必要性・有効性や、結果の解釈にも様々な見解があるようで、どうすればよいか模索しております、、
    いつかブログで遅発型アレルギーとその検査などについても取り上げていただき、お考えを伺えたら有難いです。人気の小児科でお忙しい中、診察時にあまり長々お時間を頂くのは気が引けるため、こちらでコメントさせていただきました。ご検討よろしくお願いいたします。

    • まず血液検査は完璧ではありません。あくまで補助的な検査になります。アレルギー診断の基本は原因のある食べ物を食べて症状が繰り返し出現するかを確認することになります。そのため、採血で陰性の結果であっても、繰り返しその果物の摂取で症状がでる場合はアレルギーの診断として除去の対応になります。(ただし皮膚症状の合併がなく、嘔吐症状のみの場合は味の影響かもしれません。)

      アレルギーの基本的な考え方として、即時型のアレルギー反応のあった方が一時的に改善した後に、更に遅発型のアレルギー反応がみられることがあります。そのため遅発型のアレルギーに特化した検査は現在はありません。

      特殊な型として、新生児乳児消化管アレルギーといって消化器症状のみがでるアレルギーの型(ほとんどがミルク)のものや、果物や野菜の摂取で口腔粘膜に限定した症状がでる口腔アレルギー症候群いうものがあります。消化管アレルギーはミルクの検査のみ自費で検査が可能ですが、現在その他の食品での検査はありません。
      お子様に関しては果物を摂取したことによる、消化管アレルギー、口腔内アレルギー症候群の可能性ももちろんあると思います。
      ですがその特殊な型を含め、原因となる食物を入院施設で負荷試験をおこない症状がみられた場合、「その果物の食物アレルギーの診断」がなされることになります。
      治療の基本は除去となり、抗アレルギー薬の内服で症状が軽減されます。
      確定診断をご希望の場合は、当院ではマンパワーの問題で食物負荷試験が出来ませんので紹介状作成となります。

      そのため、現状はその果物のアレルギーの診断として保育園で除去の対応をとり、管理表を提出することになるかと思います。

      その他のアレルギーに関しての説明も少しずつブログを作成していきます。ゆっくりとお待ちいただければ幸いです。

      • お忙しい中、ご返信コメントありがとうございます!とても参考になります。またブログ楽しみにしております。今後ともよろしくお願いいたします。

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