小児の新型コロナウイルス感染症に関する論文の紹介 (4月21日現在)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の論文が多数でております。小児に関連したものを紹介します。
ご参考ください。

Case 1 アメリカにおける小児のCOVID-19のまとめです。

2020年2月12日から4月2日までにアメリカのCOVID-19サーベイランスに報告された確定例のうち年齢が報告されていた149,082例中2,572 例(1.7%)が18歳未満でした。
年齢中央値は11歳、15-17歳 が813例(32%)、10-14歳が682例(27%)でした。
症状は小児の73%が発熱、咳嗽、息切れの症状を認めました。
18-64歳のグループでは93%症状を認めており、小児での症状発症の頻度は、成人と比較すると低いことがわかりました。
入院例も成人と比較して少なく(5.7%–20%)、ICU入室の割合も低い結果でした(0.58%–2.0%)。
小児で入院の頻度が高かったのは1歳未満児と基礎疾患を有するグループでした。
そして残念ながら3名の死者が報告されています。

今回の結果は中国の報告と同様で小児例は軽症例が多いことを示唆していました。
しかし入院につながる重症例は小児例でもみられるため、全ての年齢層でソーシャルディスタンスと日常の予防行動は継続するべきであると述べられています1)

Case 2 スペイン、マドリードの小児のCOVID-19の報告です。

2020年3月2日から3月16日までの2週間COVID-19検査対象となった子どもの解析です。
小児(18歳未満)365人のうち41例(11.2%)が陽性で、全陽性者に占める割合は0.8%でした。
入院例は25例(60%)で、4例(9.7%)がPICUに入室しました。
死亡例はいませんでした2)

Case 3 COVID-19に罹患した妊婦38人とその妊婦から出生した新生児30人に関する5つの論文のまとめです。

SARSおよびMERSでは母体の死亡がみられましたが、COVID-19での母体の死亡はみられませんでした。
子宮内感染の確定例がみられなかった点はSARSおよびMERSと同様でした。
新生児2人で日齢17と生後36時間に陽性が判明しました。ですが、子宮内感染の証拠はなく、出生後に感染した可能性が否定できないとされています3)

Case 4 中国、武漢市のCOVID-19陽性、肺炎のある妊婦と感染のない妊婦の比較、COVID-19陽性妊婦から出生した新生児の報告です。

COVID-19陽性の肺炎のある妊婦16例、COVID-19疑いのある妊婦(CT検査で肺炎像があるが、検査は陰性)18例、肺炎のない妊婦(2020年121例)で、出産前後の合併症の有無を比較ました。
母体合併症による早産は、それぞれ3例(18.8%)、3例(16.7%)、7例(5.8%)であり、肺炎のある症例で有意に高率でした。
COVID-19陽性妊婦から生まれた新生児は検査で陽性とならず、重症合併症はみられませんでした4)

(今妊娠されている方はとても心配していると思います。現時点で、子宮内感染(母が既に感染していて、へその緒を介してお腹の中で赤ちゃんが感染してしまうこと)に関しては他の論文でも低確率であることが述べられています。ですが、結論は出ていませんのでリスクが低いとは現段階では言えません。)

Case 5 COVID-19の環境における生存時間についての報告です。

COVID-19におけるエアロゾル、プラスチック、ステンレス、銅、段ボールでの安定性の比較をしたものです。
感染性のある生きたCOVID-19はエアロゾルで3時間、銅で4時間、ダンボールで24時間、ステンレスやプラスチックでは72時間に渡り検出されました5)

まとめ

継続して小児は軽症例が多いという報告ですが、死者もでています。原因はまだ解明されていません。
決して油断はしないでください。
妊婦さんは出来るだけ自宅安静とし、妊婦健診等で外出される場合は可能な限り人との接触をさけてください。
手指消毒を徹底し、パソコンやスマホ等のステンレス、プラスチック製品の消毒は特に念入りに行いましょう。

新型コロナウイルスの全貌はまだわかっていません。
状況は刻一刻と変化しており、来月にはこのブログの情報が変わる可能性もあります。
新規の情報がわかればまた更新したいと思います。

写真は静岡で勤務していた時によく遊びにいった愛鷹広域公園の桜並木です。
映画、海街diaryの撮影地としても有名な桜の名所です。
自然いっぱいの素敵な公園で公園内にある川ではカニが捕まえられます。
夏は蛍もいっぱい見られます。我が家のお気に入りスポットの1つです。


1) CDC COVID-19 Response Team. Coronavirus Disease 2019 in Children — United States, February 12–April 2, 2020.MMWR Weekly / April 10, 2020 / 69(14);422–426
2) Tagarro A. Screening and Severity of Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) in Children in Madrid, Spain. JAMA Pediatr. 2020 Apr 8. doi: 10.1001/jamapediatrics.2020.1346.
3) Schwartz DA. An Analysis of 38 Pregnant Women with COVID-19, Their Newborn Infants, and Maternal-Fetal Transmission of SARS-CoV-2: Maternal Coronavirus Infections and Pregnancy Outcomes. Arch Pathol Lab Med. 2020 Mar 17. doi: 10.5858/arpa.2020-0901-SA.
4) Li N. Maternal and neonatal outcomes of pregnant women with COVID-19 pneumonia: a case-control study. Clin Infect Dis. 2020 Mar 30. doi: 10.1093/cid/ciaa352.
5) van Doremalen N. Aerosol and surface stability of SARS-CoV-2 as compared with SARS-CoV-1. N Engl J Med. 2020 Mar 17. doi: 10.1056/NEJMc2004973.

1 個のコメント

  • いつも、丁寧に診察してくださり、また、私の話にもしっかり答えてくださり、ありがとうございます。

    不安の多い、また、とても緊張感のある日々の中で、のと先生が、かかりつけ医として、いてくださることが本当に心強いです。

    こちらのブログも、以前から読ませていただいておりますが、とてもためになることが多く、次のテーマは何かな?と楽しみになっています。

    特に、小さい子供へのコロナの影響については、情報に触れる機会がほとんどないため、とてもありがたい内容です。

    ブログの終わりに、必ずプライベートな内容をお話してくださるのも、なんだかほっこりして、先生のお人柄が出ているな〜と思います!

    最後に、先生をはじめ、クリニックのスタッフの皆さん、今とても大変な状況にあるとお察ししますが、お身体には十分気をつけて、これからも子供たちのことをよろしくお願いします。

    ブログは楽しみにしていますが、今はお休みになることを優先にしてくださいね◎

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