気管支喘息について vol.3 (喘息発作(急性増悪)時の治療について)

続きになります。今回は急性増悪時の治療について説明していきます。

喘息の治療について

喘息治療は大きくわけて2つあります。急性増悪(喘息発作)長期管理です。
もちろん増悪しないように予防する長期管理の治療の方が大事ですが、病院に受診する時はほとんど急性増悪時です。
まず、急性増悪の際にどのような症状が出たら受診しないといけないかを最初に確認し具体的な治療法の説明をします。次回の記事で長期管理の治療の順で説明していきます。

喘息発作のサイン

喘息発作のサインは咳や喘鳴(ゼーゼー)するというのはわかると思いますが、「息を吸うときに胸がペコペコへこむ、息を吐くほうが、吸うよりも時間がかかる、横になれず眠れない、座るほう好む」こういった症状がある場合は喘息発作である可能性があります。
特に、息を吸うときに胸がへこむ(陥没呼吸といいます)は、胸の肋骨が呼吸毎にへこむだけでなく、鎖骨周辺がへこんでいたり、喉の皮膚や首の横の皮膚がへこんでいたりすることもあります。
陥没呼吸がある場合はすみやかに受診が必要です。小鼻が呼吸毎に開くこともあります。
次は具体的にどのような薬で治療するかを確認していきましょう。

喘息発作(急性増悪)時の治療について

喘息発作が起きたときに最初に使用する治療薬はβ2刺激薬という気管支拡張剤になります。
この気管支を拡張させる薬は吸入薬内服薬貼付薬があります。

もし自宅に吸入器(ネブライザー)がある場合はまず吸入です。具体的な薬の名前はメプチン(プロカテロール塩酸塩)、ベネトリン(サルブタモール硫酸塩)といわれる薬になります。吸入薬は即効性がありますので15分後に呼吸状態が改善したか評価します。1日4回までになります。
症状が改善すれば8-12時間毎に吸入をしながら経過をみます。
症状が少し改善するが、まだ残存している場合は1-2時間後に再度吸入をおこない改善がなければ医療機関の受診となります。全く改善しなければすみやかに受診です。吸入と内服や貼付薬の併用は可能です。

吸入がない場合は内服になります。内服はおよそ30分後に効果がでてきます。具体的な薬の名前はメプチン(プロカテロール塩酸塩)、ベラチン、ホクナリン(ツロブテロール塩酸塩)などです。
内服後1-2時間しても発作が改善しない場合は受診になります。

貼付薬は効果が出るまでに4-6時間かかりますので発作がでてから使用しても即効性はありません。具体的な薬の名前はホクナリン(ツロブテロール)になります。

次にステロイドについてです。
ステロイドは内服や点滴で行う全身性ステロイド薬と吸入ステロイド薬がありますが、発作時に有効であるのは全身性ステロイド薬になります。
全身性ステロイドは効果に4時間ほどかかるため即効性はありません。

ステロイドの点滴と内服の有効性に差がないことは既にわかっており1)海外では内服で治療が行われることが多いです。もちろん副作用については検討する必要がありますので長期間の内服は控える必要があります。ステロイドの種類で効果が変わることもありません2)

発作時のみに吸入ステロイドを行うことに関しては現在議論がおこなわれています。
もともと軽症の喘息の児が、咳嗽がおきた時のみ吸入ステロイドをおこなうと全身性ステロイド薬を必要とする喘息発作は予防したが、入院を予防することは出来なかったという報告3)があります。
喘息症状に関しては6歳未満で吸入ステロイドを使用したほうが症状が改善されたとなっています。
この論文の著者は、小児における喘息のどのグループの児に対して吸入ステロイドが適しているかが不確実なため、吸入ステロイドを症状がおきた時のみに使用するのがよいかは今後の課題であるとしています。
実際ガイドラインでも標準治療としないことを提案しています。

しかし、実際の臨床では喘息症状に対し吸入ステロイドで症状が改善している印象は論文と同じです。そのため、クリニックで吸入をして帰宅し、その後の内服で症状が落ち着き問題がないということは多いです。その他、6歳未満であれば吸入器を貸し出して自宅でも吸入をすると症状が改善することは多いです。その場の本人の苦しみをとってあげたいという気持ちもありますが、エビデンスをしっかり吟味して治療する必要もあります。

今後の新しい研究の結果やガイドラインの提言を待ちたいと思います。

ステロイドの使用については副作用の正しい理解が重要です。やはり全身性ステロイドより吸入ステロイドのほうが副作用が少ないことは間違いありません。長期管理の治療についての紹介したあとに説明したいと思います。

ここまでのまとめ

息を吸うときに胸がへこむ陥没呼吸があるときは医療機関に受診する。
喘息発作が起きたときは最初にβ2刺激薬(気管支拡張剤)を使用する。
吸入は即効性があり15分で効果あり
吸入がない場合は内服をする。内服は30分で効果あり。
貼付薬は効果が出るまでに4-6時間かかり即効性なし。
ステロイドに関しては、発作時に有効なのは全身性ステロイド薬
しかし効果に4時間かかり即効性なし。
発作時のみに吸入ステロイドを行うことは検討中。

次に長期管理の治療薬について説明します。

1) Jónsson S, Kjartansson G, Gíslason D, Helgason H. Comparison of the oral and intravenous routes for treating asthma with methylprednisolone and theophylline. Chest. 1988 Oct;94(4):723-6. doi: 10.1378/chest.94.4.723. PMID: 3168567.
2) Normansell R, Kew KM, Mansour G. Different oral corticosteroid regimens for acute asthma. Cochrane Database Syst Rev. 2016 May 13;2016(5):CD011801. doi: 10.1002/14651858.CD011801.pub2. PMID: 27176676; PMCID: PMC8504986.
3) Chong J, Haran C, Chauhan BF, Asher I. Intermittent inhaled corticosteroid therapy versus placebo for persistent asthma in children and adults. Cochrane Database Syst Rev. 2015 Jul 22;(7):CD011032. doi: 10.1002/14651858.CD011032.pub2. PMID: 26197430.

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