気管支喘息について vol.4 (長期管理の治療について)

続きになります。今回は長期管理の治療についてになります。

長期管理の治療について

喘息の長期管理治療をするためにまず重症度を決定する必要があります。
重症度は喘息症状がどの程度起きたかにあわせて評価されます。重症度は下記の5段階です。

小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2020から引用

間欠型:軽い症状が年に数回季節性に咳や喘鳴が出現する。呼吸が苦しくなっても治療薬で症状が改善し、持続しない状態。
軽症持続型:軽い咳、喘鳴が月1回以上、週1回未満。呼吸困難を伴うが、持続は短く、日常生活が障害されることは少ない。
中等症持続型:軽い咳、喘鳴が週1回以上、毎日は持続しない。時に中・大発作となり日常生活が障害されることがある。
重症持続型:咳、喘鳴が毎日あり、週1、2回は大きな発作がある状態で、日常生活や睡眠が障害される。(それ以上は最重症持続型

クリニックでフォローされているほとんどの方が間欠型か、軽症持続型になると思います。そのため、治療ステップ1か2を確認すればよいことになります。
中等症持続型以上は週に1回以上喘息発作がおきますし入院歴がありますから、だいたい大きな病院がかかりつけになっていると思います。

治療ステップの図は下記になります。治療内容を確認していきましょう。

小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2020から引用

この図にかいてあるLTRAはロイコトリエン受容体拮抗薬、ICSは吸入ステロイドを意味します。

治療ステップ1

重症度が間欠型に該当する治療ステップで、基本治療では長期管理薬(毎日使用する薬)はありません。
咳症状がでた時のみ、吸入β2刺激薬(メプチン吸入)を短期間使用するか、2週間程度ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)を使用します。
季節の変わり目などに一時的に増悪するようなケースではLTRAを1か月程度使用するとなっています。

ここで ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA) という新しい用語がでてきました。
これがよく聞くオノン(プランルカスト水和物)、キプレス、シングレア(モンテルカストナトリウム)です、LTRAは気管支拡張作用気道炎症抑制作用があります。
学童期の軽症例でLTRAと吸入ステロイドの効果はほぼ同等であり1)、6歳未満の軽症持続型の喘息発作を予防することも報告されている喘息の初期治療で最も重要な薬になります2)
安全性も高く、1歳未満の小児に対しても効果と安全性が報告されています。

つまり、ゼーゼーした場合はLTRAをまず最初に内服するという流れになるわけです。
さすがに、ガイドライン通り吸入をしてもいいとは思いますが、ネブライザー(吸入器)を個人で購入、またはクリニックで借りて自宅で吸入をするのは親御さんの負担がかかりますのでクリニックレベルでは正直難しいかなぁと思います。
だいたいのお子さんがこのステップだと思います。

治療ステップ2

重症度が軽症持続型に該当する治療ステップで、基本治療として低用量吸入ステロイドLTRAを選択して長期管理を開始します。どちらかの治療でコントロール状態が改善しなければ2つの治療を併用します。
ネブライザー(吸入器)を使用した吸入ステロイドの薬剤はパルミコート(ブデゾニド)です。
1個が0.25㎎で、1日2回使用します。1日0.5㎎は低用量になります。1日の最高量は1㎎です。

さてここで問題が起きます。ガイドラインでは治療ステップ2から毎日吸入ステロイド1日2回か毎日LTRAの投与が開始されます。
クリニックでは、内服のほうが楽ですから最初にLTRAの連日投与を開始します。それでも改善しなければ吸入ステロイドを併用しなければなりません。
吸入ステロイドはネブライザー(吸入器)をクリニックで借りて使用することが多いと思いますが、毎日吸入する必要があるためこの治療ステップからネブライザーを購入していただくことになります。
そして、ネブライザーは1回の吸入に時間がかかるという欠点があるため、吸入補助具であるスペーサーを使用した吸入を私はおすすめしています。(スペーサーについての説明は別で説明します!)

やはり、吸入ステロイドを毎日使用することに抵抗を示す親御さんは多いですが、3回以上クリニックでネブライザーを貸し出すと少しずつ購入を納得される印象にあります。

治療ステップ3

重症度が中等症持続型に該当する治療ステップで、基本治療は中用量吸入ステロイドの毎日投与になります。中用量吸入ステロイドでコンロトールが改善しなければLTRA併用となりますが、だいたい併用することになります

この段階では吸入ステロイドはネブライザー(吸入器)を使用しないでおこなうことが多く、喘息発作時にうまく吸えない時のみネブライザーを使用するイメージです。吸入ステロイドの用量を下記に示します。

小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2020から引用

よく使用されるのが、フルタイド(フルチカゾンプロピオン酸エステル)、キュバール(ベクロメタゾンプロピオン酸エステル)、オルベスコ(シクレソニド)あたりでしょうか。

フルタイドであれば1回50μgで1日2回で低用量になりますので、100μgを1日2回吸入して中容量となります。このステロイドの量でコントロールがされない場合は治療ステップ4へ移行しますので大学病院等の専門病院へ紹介となります。6歳をこえていれば高用量の吸入ステロイドに加えて生物学的製剤を使用し追加治療します(詳細は割愛しますが生物学的製剤はとにかくよく効く!)

そのため、クリニックレベルで行う治療は治療ステップ3までとなります。

1つ補足です。
ここまで説明してきて、よく吸入でインタール(クロモグリク酸ナトリウム)が処方されると思います。出てこないことに気がついたでしょうか。
インタールの効果はマスト細胞からの化学伝達物質遊離抑制作用(難しい場合は読み飛ばし)です。
簡単に言うと抗アレルギー薬です。

インタールは急性増悪の予防効果、呼吸機能の改善が報告されてはいますが、優位性に関しては十分な確証が得られていないという現状があります3)
そのため、ガイドラインでは、LTRAに併用してもよいという立ち位置です。
乳幼児喘息の分類にIgE関連喘息というものがありました。インタールは抗アレルギー薬なので、IgEが高値であるようなアレルギー素因があれば効果がある可能性があり、そうでない非IgE関連喘息(ウイルス誘発性喘息)であれば効果がない可能性があります。
(インタールを使用した、しないで喘息研究をする人が今後もいないと思われるので多分インタールを使用しないことには多分ならないと思われます)

ここまでのまとめ

重症度は喘息症状がどの程度起きたかにあわせて評価される。
クリニックに受診する人はほとんどが間欠型軽症持続型
間欠型の治療はステップ1、軽症持続型の治療はステップ2。
治療ステップ1は咳症状がでた時のみ、ロイコトリエン受容体拮抗薬を使用する。
季節の変わり目などに増悪する場合は1か月程度内服。
治療ステップ2は ロイコトリエン受容体拮抗薬を毎日内服。
それでも症状が改善しなければ、低用量吸入ステロイドを併用
パルミコートは1日2回使用、1日0.5㎎で低用量
治療ステップ3は中用量吸入ステロイドを毎日使用。
治療ステップ3でコントロールが効かなければ専門機関で継続治療となります。

これで記事4つ目になりました。
かなり長く内容が重いので、気になるところだけでもいいですから少しずつ理解していきましょう。

1) Bukstein DA, Luskin AT, Bernstein A. “Real-world” effectiveness of daily controller medicine in children with mild persistent asthma. Ann Allergy Asthma Immunol. 2003 May;90(5):543-9. doi: 10.1016/S1081-1206(10)61848-0. Erratum in: Ann Allergy Asthma Immunol. 2003 Sep;91(3):308. PMID: 12775136.
2) Nagao M, Ikeda M, Fukuda N, Habukawa C, Kitamura T, Katsunuma T, Fujisawa T; LePAT (Leukotriene and Pediatric Asthma Translational Research Network) investigators. Early control treatment with montelukast in preschool children with asthma: A randomized controlled trial. Allergol Int. 2018 Jan;67(1):72-78. doi: 10.1016/j.alit.2017.04.008. Epub 2017 May 16. PMID: 28526210.
3) van der Wouden JC, Uijen JH, Bernsen RM, Tasche MJ, de Jongste JC, Ducharme F. Inhaled sodium cromoglycate for asthma in children. Cochrane Database Syst Rev. 2008 Oct 8;2008(4):CD002173. doi: 10.1002/14651858.CD002173.pub2. PMID: 18843630; PMCID: PMC8436730.

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