続きになります。ついに喘息シリーズのラストです。
定量吸入器と吸入補助器具のスペーサーの説明です。
この記事は毎日吸入をしている人はぜひ確認してみてください。
この記事の目次
年齢別の吸入器の選択について
前回はネブライザーについて説明しました。しかし、吸入はネブライザーだけではありません。まず、吸入器の薬剤をみていきましょう。まずおなじみのブデゾニド(パルミコート)です。
液体ですからネブライザーを使用しないと吸入出来ません。これはネブライザーの記事で説明しました。どの年齢でも使用可能です。
長期管理の吸入ステロイドにはフルチカゾン(フルタイド)、ベクロメタゾン(キュバール)等が存在することを説明しました。これらはどのように吸入するのでしょうか。
例えば、フルタイドと検索をすると
このL字の加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)と
この丸いドライパウダー定量吸入器(DPI)というのがでてくると思います。
この丸いDPIは学童期に入る6歳以降で使用が可能となります。
pMDIも5歳から適応となっていますが、私は吸入に慣れるまでは呼吸補助器具のスペーサーを使用した吸入をおすすめします。スペーサーを使用したpMDIはネブライザーと同じでどの年齢で使用可能です。
pMDIとDPIについて説明していきましょう。
加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)の特徴
pMDIのメリット、デメリットから説明しましょう。
メリット:携帯性しやすい、低年齢でもスペーサーを使用すれば使用が可能。
デメリット:スペーサーが必要な場合は購入費用がかかる、スペーサーを使用しない場合は噴霧と呼吸を同期する必要がある。
pMDIを小児で使用する場合はスペーサーありきで私は考えていますが、一般的には5歳以上でスペーサーなしで吸入可能となっています。
スペーサーなしの場合、息を大きく吸う(ストローでジュースを飲むように)、息をとめて数秒間維持する。これが出来ないと厳しいと思います。
スペーサーの種類ですが、ガイドラインでは3つ推奨になっています。
エアロチャンバープラス
年齢によって口にあたるマスクの大きさが変わります。6歳以降では口元をマスクタイプから
マウスピースタイプにすることをおすすめしています。(鼻呼吸でステロイドが鼻の中に残ってしまうため)
ボアテックス
オプティチャンバーダイアモンド
これら3つはどれを選択してもいいと思いますが、私はエアロチャンバープラスが好きです。息を吸うと、インジケーターという弁がひらひら動いて吸っているのがわかるからです。インジケーターがついているのはエアロチャンバープラスだけです。
これらのスペーサーにpMDIに装着すると、
このような状態で吸入することになります。
注意点は
・発作中はスペーサーでもあまりうまく吸えない。(無理せずネブライザーに変更)
・pMDIは上向きに正しく装着。下向きにつけない。
・マスクの場合は安静で5回呼吸をする。(5回呼吸すれば終了なのですごく楽!!)
・少し上を向いて吸う。(顎をひいて吸うと、のどが狭くなります)
・マウスピースの場合はしっかりと息こらえ。
・吸入後は顔についた薬液をふく。
になります。
ドライパウダー定量吸入器(DPI)の特徴
DPIのメリット、デメリットを説明しましょう。
メリット:携帯しやすい、自分のタイミングで吸入できる、スペーサーを使用しない、残量の確認が簡単。
デメリット:息止めが可能である必要がある、吸入速度がある程度必要。
になります。
注意点は
・薬剤を水平に保てているか
・歯で吸入する箇所をブロックしていないか
です。DPIに関しては薬剤師の先生からも指導がはいると思いますので安心はしていますが、念のため記載しました。
ネブライザーの回でも紹介しましたが、これらの吸入方法は全て動画での説明があります。
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/sukoyaka/movie/
1度確認してみてください。
ここまでのまとめ
吸入器具は年齢に応じてネブライザー、pMDI、DPIがある。
吸入の基本はネブライザーになるが、連日使用しないといけない場合はスペーサーを併用pMDIを検討する。
動画で再度吸入方法を確認する、になります。
吸入器具についての私の考えを少し書きます。
私がクリニックで勤務する以前は、スペーサーを使用して喘息のコントロールをするほうがネブライザーを使用するより圧倒的によいと考えていました。
5回の呼吸で吸入が終了することは子どもにとっても親にとっても本当に助かります。
特に朝の忙しい時間に5分以上も毎日吸入をすることは想像以上に大変です。
まして乳幼児に5分集中して吸入させるのは正直難しいと思っています。
(所説ありますが、子どもの集中時間は年齢+1分とか言ってる人もいます)
しかし、クリニックではネブライザーを無料で貸し出しすることが当たり前であり、スペーサーは自費で購入(約3千円)しなければなりません。
そのためせっかく購入したがうまく使えない、その後喘息発作がおきないため購入した意味がなかった、発作がおきた時は結局ネブライザーを使用しないと吸入できないのだから最初からネブライザーでよかった、などの理由により返品したいという訴えがありました。
1つ目のブログ記事でお伝えした通り、ある程度のお子さんは5-6歳で喘鳴がおきなくなりますので年齢が経過すると吸入器具は使用しなくなります。そのため、わざわざお金をかけて購入したが意味がないじゃないかと言われるとその通りであり何も言い返せません。
それ以降、費用のかかるスペーサーはクリニック診療では向かないのだなと考えが変わってしまいました。
喘息と診断されたお子さんの中にはネブライザーを購入している方もいらっしゃると思います。
そのようなご家族で、ネブライザーだけでなく、スペーサーを試してみたいという希望があればぜひご相談ください。
私はエアロチャンバープラスが好きですので、クリニックに実際のスペーサーがあります。
手にとってみてクリニックで購入でもアマゾン、楽天で購入でもいいと思います。
気軽にご相談くださいね。
総括
いろいろ書きましたが、私なんかより偉い先生が作成した資材を紹介します!
喘息の資材で1番有名なのが、「おしえて先生!子どものぜん息ハンドブック」です。
https://www.erca.go.jp/yobou/pamphlet/form/00/pdf/archives_28016_1.pdf
文字数は多いですが非常にわかりやすく記載されています。ぜび確認してください。
動画もわかりやすいですが、このハンドブックは喘息全体を網羅しています。もちろん吸入器の使い方や普段の生活で注意することなどもとても分かりやすく記載されています。
最後に自分で見てみましたが、実際これでよかったのでは?という気がしてきました笑
夏のRSウイルスに感染してしまった子が秋の風邪にかかり、もともと季節の変わり目であるため、今すごい人数がゼーゼーを主訴に受診しています。
1つ目の記事にもあったとおり6歳までゼーゼーが継続しなければ喘息にはならずに治る可能性があります。
アレルギー体質である場合は喘息に移行する可能性がありますので、喘息の病態を理解し、吸入ステロイドかLTRAを継続して内服することで発作予防に努めましょう。
親御さんが病気を理解することが、治療を継続する1番の鍵です。
喘息について書きたいことはまだ残っていますが(ダニアレルギーとの関連、6歳以降の喘息の管理など)、クリニック診療において重要なことは概ね書けました。久しぶりにいっぱいブログを書いたので爽快感でいっぱいです!!
年内は斜頭症の研究を進めようと思っていますがまた時間を作ってブログを作成します。
次の記事をお待ちくださいね!
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