子どもの頭の形について 3Dスキャンについて

当クリニックで月2回、頭の形を3Dスキャンし確認することが可能となりました。
なぜこの検査をするのか、どのような検査なのかを説明します。

当院での頭の変形に対しての取り組みについて

「頭の形が気になります」
「ヘルメット療法は先生はどう思われますか」
「私の子どもは絶壁だと思いませんか?」
という頭の形に関連した質問を乳児健診で多数いただいています。
我が子に治療をうけさせた方がよいか心配される親御さんも増えていますし、祖父母の方から指摘されたという親御さんもいらっしゃいました。

私自身、健診で質問をいただいた際は、「ヘルメット療法は自費診療になります。1番有名な東京女子医大を受診し、お話しを聞いてください」と対応していました。
しかし、お子さんを連れて東京女子医大まで受診することは簡単なことではありません。
大学病院ですから待ち時間も長いですし、まして新型コロナウイルス感染症が心配だと思います。

すぐに治療が必要なお子さんがどの程度いるのかを確認し、治療の必要なお子さんをすみやかに紹介したいという思いから、3Dスキャナーを当クリニックで使用したいと考えるようになりました。

その旨を私が所属する日本大学板橋病院小児科 森岡教授に相談したところ快諾され、3Dスキャナーを日本大学板橋病院小児科と共同研究という目的で使用することが可能となりました。
そして同時に、早産児と正期産児で頭の変形に関して違いがあるのかという事も春日部市立病院と3施設で調べていくことになりました。

本来この3Dスキャンは、ヘルメット作成の自費診療で行われるため約1万円程費用がかかります。
当クリニックではこのスキャンを無料でおこなうことが可能です。
そのため気軽な気持ちでスキャンしていただければと思っています。
WEBで予約が可能ですので確認ください。

3Dスキャナーの説明

3DスキャナーはArtec Evaという製品になります。Artec 3Dと検索していただくと詳細な企業の情報とスキャナーの情報が手に入ります。この機械を使用して頭の形を測定します。

このスキャナーはもともと医療用、産業用の3Dスキャナーです。
整形外科における装具の作成や歯科領域でのインプラント作成等に使用されています。そのうちの1つに、子どもの頭にあわせたヘルメットの作成があります。

スキャンする際は頭の形をより詳細に把握するために、ストッキングの素材のキャップを装着します。(この時少しお子さんが嫌がり泣いてしまうため最初に装着します)
スキャン時はカメラのフラッシュに似た光が点滅して位置情報を特定します。
そのため少しまぶしいですが、痛みはなく安全にスキャンすることが出来ます。
椅子に座る、もしくは親御さんに抱っこしてもらった状況で頭の半分ずつをスキャンしていきます。

泣かなければ数分でスキャン可能です。動いてしまうとスキャンが出来ないため、泣いてしまうと中止となります。

1秒毎に最大200万ポイントを処理し、誤差0.1mmの精度でスキャンします。

実際に3Dスキャンの結果を確認してみる

当院でスキャンした方の結果を実際にみてみましょう。

4ヵ月の児を3Dスキャンしたものになります。啼泣することなく数分でスキャンが可能でした。
左の表が、詳細な数値のデータ。右の図が3Dスキャンした画像で、切断位置を表示しています。
真ん中の図は、断面図になります。
頭のてっぺんが少しとがって見えますが、これはストッキングキャップの影響です。
数値に影響しないので気にしないでください。
大事な情報は、切断位置による断面図です。

上の表は東京女子医大で使用しているヘルメットの企業 アイメット®の添付文書に掲載されている重症度クラス分類になります。1つずつ確認していきましょう。

斜頭率は頭の向き癖により左右の対称性にどれくらいの差があるかをみています。
今回のお子さんは、後頭部の左右対称率が85.4%であり重度よりの中等度となります。
前頭部は対称率97.7%であり綺麗ですね。

短頭率は絶壁の具合をみています。数値が低くなればなるほど、絶壁であるということになります。
108%=1.08となり軽度の判定です。絶壁はそこまで気にしなくてもよいという評価です。
本児はもともと向き癖があり、親御さんは後頭部の変形が気にされていました。

ヘルメット療法の適応は、中等度(クラス2)以上となっており、推奨は重度(クラス3)からになります。
本児は後頭部が重度よりの中等度であり、親御さんの希望があればヘルメット療法を使用してもよいと結果でした。
ただし、すぐに治療を開始すべき状況でないこともわかりました。

重度よりの中等症でしたが、親御さんは最重症でないことに安心されていました。
ヘルメット療法をするかどうかは夫婦で相談するとのことでした。

以上が結果の解釈になります。

この3Dスキャンを数か月毎におこなっていくことで頭の形がどのように変化していくのかを追跡していきます。

頭の変形に対しての治療について

タミータイムという言葉を聞いたことがあるでしょうか。
(寝ている時は仰向けに、起きている時はうつ伏せにして発育させるやり方)

海外ではタミータイムを推奨しており、出生後早期に親に指導をおこなうことで、生後3か月の頭の形の変形をある程度予防出来たという論文1)があります。
タミータイム中、お子さんをうつ伏せにしたたま親御さんが寝落ちしてしまう事があります。その点は本当に注意していただきたいです。

アメリカやヨーロッパでは、早期にヘルメット治療(モルディングヘルメット矯正治療)を行うことで頭の形を整えていく治療があり、かなりの論文で効果が実証されています。

生後6ヵ月までに治療を介入すれば治療効果が得られ、生後9ヵ月以降になってしまうと治療効果は低くなると報告2)がありますので、治療の推奨は首が座った生後3-6ヵ月前後、遅くとも生後8ヵ月までとなります。

当院では、現在は、ヘルメット治療はおこなえません。治療を希望される方は紹介となります。

斜頭症に合併する疾患と私がクリニックで出来る事

日本においては、頭の変形の基準となるデータがなく、どの程度自然に治癒するかのデータもありません。

海外の報告では、重度の斜頭症では、頭の変形から眼や耳、顎の位置がずれることが報告されています。
それを補おうとして、眼に関しては斜視に、耳に関しては鼓膜の感染、顎に関しては歯並びに影響するといわれています。斜頭症が運動発達に影響を与える可能性があるという報告3,4)もあります。

当院では、スポットビジョンスクリーナーがありますので斜視の早期発見が可能です。
歯並びや運動発達に関しては、1歳半健診と3歳健診を含む診察と母子手帳を確認することで判断可能です。

頭の3Dスキャンをしたお子さんを予防接種や健診等で長期間フォローすることで、斜頭症と合併する疾患の関連の有無も確認することが出来ると思っています。

当クリニックでは、「弱視」を早期に発見するだけでなく、頭の形」で治療が必要なお子さんを見過ごさない最大限の努力をおこなっていきます。
頭の変形で悩まれている親御さんの心配を少しでもとれるように、出来る限り3Dスキャンを継続していきたいと思っています。

そして、日本におけるデータを当クリニックで作成し全国の親御さんへ情報提供が出来ればと思っています。

写真は伊豆・三津シーパラダイスで撮影したものです。
静岡で勤務していた際、何回行ったかわからないくらいお世話になりました。

上の娘が赤ちゃんの頃から通っています。動物たちとの距離もとても近いので、大興奮です。

イルカ以外にもアシカ、アザラシ、トド、セイウチ、コツメカワウソ、養殖のタイにもエサをあげられたり、タッチしたりもできます。
エサをあげることが出来た時の子どもの笑顔は最高です!

三津シーパラダイスも現在営業を自粛しています。
緊急事態宣言が終わリ、営業再開したら、感謝の気持ちをもって再訪したいと思っています。

1) Aarnivala H. Eur. J. Pediatr. 2015;174:1197–1208. doi: 10.1007/s00431-015-2520-x.
2) Aihara Y. Childs Nerv Syste 30 : 1499-1509. 2014
3) Miller RI. Pediatrics 2000;105:E26.
4) Steinbok P. Childs Nerv Syst 2007;23:1275–83.

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