小児COVID-19について Vol.5 (1月6日現在)

前回の続きになります。

小児のCOVID-19の重症度について

小児COVID-19に関する中国・シンガポールからの18論文のレビューの内容を紹介します。1,065症例(うち0~9歳は444例)を検討した結果、0~9歳で集中治療を要した症例は1歳児の1例のみで、死亡例はありません1)
日本国内では、12月29日の時点で10歳未満の患者5,250人、10~19歳の患者13,415人で重症者、死亡例はありません 2)
小児では重症化することは稀であることがわかってきています。

以前に重症化する可能性がある小児のCOVID-19と川崎病の関連について説明しました。
5月以降川崎病学会からの追加報告はありません。そのため、現時点で日本での川崎病の発症率や重症化の頻度等の増加はないものと予想されますが、詳細は不明です。
追加の情報があがればまた記事を公開したいと思います。

小児のCOVID-19の症状について

COVID-19小児患者2,597例(24論文)のレビューでは、初発症状は成人と同様ですが頻度が低く、発熱は43.1% (成人で82~98.6%)、咳は43.4% (成人で59.4~82%)、多呼吸・息切れは12.6% (成人で31%) でした。
呼吸困難の合併は稀です。
一方で、消化器症状は成人と比べて少し多く、下痢は6.6% (成人で2~3.8%) であったと報告があります3)

成人のCOVID-19で特徴的な嗅覚・味覚障害は、小児での実態は不明です。(自分で訴えられないため)しかし、フランスの論文では18歳未満の症例の5.2%に認められたとしているものもあります 4)。そのため、万が一症状を訴えた場合はもちろんPCR検査となります。

以前に凍傷様の皮膚所見の話題を出しましたが、COVID-19との関連はあまりないというのが現在の考えの主流です。ご注意ください。

小児のCOVID-19の治療について

小児のCOVID-19はほとんどの場合軽症のため経過観察か対症療法が選択されており成人とは異なります。
国内の小児科学会によるデータでも、930症例のうち808例は無治療、10例で吸入ステロイド剤、5例で静注ステロイド剤、1例で内服ステロイド剤が用いられた症例以外は対症療法のみとなり、抗ウイルス薬が用いられた症例はありませんでした 5)
抗ウイルス薬のレムデシビルと副腎皮質ステロイドのデキサメタゾンは小児では使用経験が少なく、有効性や安全性のエビデンスは十分とは言えません。

そのため、もしCOVID-19の診断をうけたとしても追加の治療を行うことはほとんどありません。
経過をみて症状の悪化があれば対応するというのが一般的です。

どのような場合に小児のCOVID-19を疑えばよいのか

いままでの情報からお気づきの方もいると思いますが、症状からCOVID-19を疑うことは限りなく困難です。その他の感冒やウイルス感染と区別がつかないからです。
また小児では重症化しないため、無症状でCOVID-19陽性であるということが多いので、周囲の感染徴候の有無(特に家族内で親)が全てです。

周囲の方に感染徴候があればお子さんも疑う必要がありますが、まずその周囲の方のPCR検査が優先されると思います。
もしPCRが陽性であればお子さんも検査という流れになります。

後遺症について

現在成人においては倦怠感、呼吸困難、関節痛、胸痛、味覚・嗅覚障害、脱毛、睡眠障害などの後遺症がみられ、後遺症についての研究も進んでいます。
ですが、小児例においての後遺症は詳細不明です。
小児のCOVID-19においてはまだ不明な点が多いためやはり「感染しないこと」がとても大切です。
決してCOVID-19を軽視しないでください!!

まとめ

2記事にわけて説明しました。
小児のCOVID-19が重症化する頻度が低いことはよいことですが、感染しているかを鑑別出来ない点が1番頭を悩ませる点です。
そのため、クリニック診療を行う際は全てのお子さんがCOVID-19に感染していると考えてフェイスシールドを含めた感染対策を常に講じています。
緊急事態宣言が発令される前からですから、もう8か月以上が経過したでしょうか。
N95マスクのせいで鼻が少し変形してきました。
お子さんから「感染をもらわない」、そして「感染させない」よう最大限の努力をして毎日診療をおこなっていきます。
いつまで続くかわかりませんが私は継続していきます。
当クリニックでは看護師を含めたメディカルスタッフも同様に感染対策を講じて診療を継続し、お子さんの健康を守れるよう努力していきます。

写真は山中湖です。これでもまだ雪が少ない方です。
湖の上に雪が積もっている風景からみる富士山は絶景です。

1 Castagnoli R, Votto M, Licari A, et al: Severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 (SARS-CoV-2) infection in children and adolescents: a systematic review. JAMA Pediatr. 2020; 174: 882-9. doi: 10.1001/jamapediatrics.2020.1467.
2 厚生労働省:新型コロナウイルス感染症の国内発生動向(令和2年12月29日18時時点). https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000713230.pdf (2021年1月6日アクセス)
3 Cui X, Zhang T, Zheng J, et al: Children with coronavirus disease 2019 (COVID-19): A review of demographic, clinical, laboratory and imaging features in 2,597 pediatric patients. J Med Virol. 2020.
4 Gaborieau L, Delestrain C, Bensaid P, et al: Epidemiology and clinical presentations of children hospitalized with SARS-CoV-2 infection. J Clin Med. 2020; 9: e2227. DOI: 10.3390/jcm9072227
5 日本小児科学会:COVID-19日本国内における小児症例.https://www.coreregistry.jp/CoreRegistry_COVID19_CRF_Dashboard/Home/DashBoardviewer (2021年1月6日アクセス)

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