言語発達について vol.1 言語獲得の順番について

1歳半健診の記事で言語発達について少し言及しました。
まず、言語発達はどのようにして獲得されるのかを説明します。
この内容はクリニックでも丁寧に説明出来ていませんでしたので、やっと詳しく説明出来ます。
キーワードは「言語発達は勝手に伸びるではなく、脳が発達するから伸びる」です。
せび、これから赤ちゃんを育てる親御さんに見てもらいたい内容になります。

今回の記事で私が伝えたい事は、

子供と一緒に遊んだ経験が言葉の成長につながる!

です。
まず、言語発達がどのように獲得されるかを理解しないと実際に何をしたらよいかわかりません。丁寧に説明していきます。

その上でスマホ育児の危険性について、言語が遅れた時にどのように対応すればよいか、英語と日本語のバイリンガル育児をされている方へお伝えしたいこと等を次回以降の記事で説明していこうと思います。
この話題は2020年から書きたいと思っていましたが、コロナのせいにして後回しにしていました。少し落ち着いた今、きちんと書き切りたいと思っています。
(ちなみに1歳半健診の記事も完全に下書きの中で眠っていました)

言葉を発するためのプロセス

言葉を発するためのプロセスは、木に例えられることが多いです。

「言葉を発する」(言語の世界では表出と表現されます)
つまり自分の言いたいことを表現する状態は最後の部分にあたります。
木でいうところの葉っぱになるわけです。

しかし、人から聞いたことを理解していなければ答えることは出来ません。
そのため、どれだけ聞いたことを理解しているか(理解度)が元気は葉っぱが育つために必要な枝、太い幹に相当するわけです。

ですが、その理解度を支える土台が必要で、それは子どもが毎日の遊びや生活を通して得るさまざまな経験によって得られます。砂場遊びとお風呂の例でみてみましょう。

例えば、「砂場遊び」をすると、


・砂場は公園にある。
・砂をさわるとサラサラと感じる。
・砂に水をかけて遊ぶと固くなる。
・砂の形が変わる。
・蛇口から出た水は冷たい。
・足に水がかかると寒い。
・足の感触がかわり気持ち悪い。
・水が乾くとまたサラサラしてくる。
など数えきれない情報を体感します。

日常生活でも、「お風呂」に入るときは、


・必ず服を脱ぐ。
・いつもパパかママがお風呂場にはいる。
・お湯に入ると気持ちがいい。
・お風呂場では石鹸の香りがする。
・お風呂から出ると涼しい。
など、これまた数えきれない情報を体感することになります。
この経験は理由付けや問題解決能力、計画性、社会性、想像力等を育むことになります。
この経験こそが木でいうところの土壌や根っこに相当します。
しっかりとした土壌や根っこがなければ,健康な幹や枝は育ちません。
言語発達の土台がしっかりしていなければ、しっかりとした理解度や表出もはあり得えないわけです。

上記説明は言われてみれば当たり前なのですが、意外と理解が難しい点です。
つまり、砂場遊びをしたことがないお子さんに「砂場」の本を読んで、毎日「砂場」と語りかけたとして、お子さんが「砂場」と言葉を発したとしても、その言葉に意味はあるでしょうか。
この一連の流れを経験、納得、理解して初めて言語発達の土台となるのです。

難しいことをいろいろ書きましたが、結局は
子供といっぱい遊んでいろいろな経験をさせてあげましょう!
ということになるのです。
現実でのいろいろな経験が言語発達の土台です。
スマホ育児はこの実際の経験が少なくなってしまうのがデメリットの1つとなります。

音をどのようにして人間は理解しているのか

言葉は音ですから空気の振動で伝わります。
空気の振動は耳に入り鼓膜を振動させ聴覚器(蝸牛といいます)で電気信号に変換され、脳幹、大脳辺縁系、大脳皮質に届くことで伝わります。
こんなこと書かれても知らんよという声が聞こえてきますが、要は音の入り口は耳ですが、電気信号変換されて実際は脳で聞いています。脳への通り道の脳幹、大脳辺縁系もちゃんと調整してねということです。
つまり言語発達は耳だけでなく脳が重要だよ!ということです。
これも当たり前のように感じますが言われないとなかなか気が付きません。

脳幹は生きるための働きをコントロールしています。
具体的には呼吸をしたり、心臓を動かしたり、食べたものを消化させるなど、生きていくために欠かすことの出来ない仕事をしている部位です。
この部位に視覚や聴覚の中枢があります。
脳幹は、規則正しい生活や体の発達にそった十分な運動が必要です。
大脳辺縁系は情動、記憶、本能行動、動機付け、自律神経調節など多彩な機能に関係しています。良好な親子関係は自律神経の安定につながります。
大脳皮質は感情、感覚、記憶、思考などの精神機能を司る部位です。大脳皮質で言葉を理解して言語を話す電気信号を発出するわけです。

この長い文章の全ての状態が良好でないと脳は正常に働いてくれませんから、言語の理解は出来ないわけです。

もし耳に異常があって難聴があれば、音を感じることは出来ませんし、睡眠時間が短い、不規則な生活や運動がない状態が続く、親子関係が悪い状態が続き心が不安定であれば脳の機能が万全でないため言語発達はなかなか身に付つきません。
難しいこといろいろ書きましたが、結局は
規則正しい食事をとり、早く寝て、いっぱいお子さんと遊びましょう」ということになります。

この記事を書きながら改めて思うことは、
子供の言語発達は勝手に身に付くのではなく、脳が成長することで言語が発達します

言葉は心を通わせる手段

ここで、言語聴覚士の大御所、中川信子先生のお言葉を紹介します。
「言葉は心を通わせるための手段であるため、言葉が言えるようになる前に、気持ちの通い合いが育っている必要があります。そしてその「気持ち」が「言える言葉」につながります」とあります。
つまり、非言語的なコミュニケーションを赤ちゃんの時から行い、気持ちを通い合わせておいてくださいねということです。

例えばお子さんがクリニックに受診したとします。
医師に以前注射をされた嫌な記憶があれば、「ワーン」と泣いて、お母さんに手を伸ばし、「助けて、こわい」という気持ちを動作で表現すると思います。
この気持ちを動作で表現することが重要で、その「気持ち」が年齢を重ねて言語発達が進むと「助けて、こわい」や「帰りたい、嫌だ」などの「言える言葉」になるということです。
この流れも
子供と実体験を通じていっぱいコミュニケーションとりましょう!
ということになるのです。
脳は刺激をうけて成長しますから、適切な刺激が必要です。ではどのような刺激をして脳の発達を促せばよいのでしょうか。

手を使うと言葉が伸びる

昔の先生はよく「手を使うと言葉が伸びる」と言っていました。
手を使うことで大脳に刺激を与え脳の発達を促すということからきていると思われます。

ここで1歳半健診の質問項目に戻ってみましょう。
おもちゃ、スプーンなどの道具を使うことが出来るというのがありましたね。
手を使うことが上手であれば大脳機能へ適切な刺激を与えているということになるからです。

また、興味のある物に対して指差しができるというのもありました。指を差すことで大脳機能へ刺激を与えるだけでなく、お子さんが指差しするものは注意が向いているものになります。複数の人が同じ物に注意を向けることを「共同注意」といいます。
子どもが指差すものに、大人も注意を向け共有して共同注意を行うことで、コミュニケーションをとる体験することになります。
共同注意を重ねる経験は言葉の発達の基本となります

ここでも、
お子さんと手を使う遊びを通じてコミュニケーションをとっていこう
ということになります。だんだん同じフレーズが連続してきました。
そうなんです。子供と一緒に遊びを通じてコミュニケーションをとれば話もするし経験を積んであげられるよねという内容に集約してきました。

言語発達は結局のところ、手を変え品を変え、いかに大脳を発達出来るかというところに行きつくのです。上記内容を踏まえ
次回は、なぜスマホ育児が推奨されないかを検討してみましょう。

そして言語発達に関して勉強になった本を1冊紹介します。

この本は先ほど紹介した言語聴覚士の大御所、中川信子先生が翻訳に携わっています。
とても参考になる点がたくさんあります。
題名が「わが子の発達に合わせた1日30分間語りかけ育児」ですから、子供に積極的に語りかけよう!いう内容ですが、言語発達のおおむね全てを理解出来ます。
言語発達が遅い親御さんで、何か自分に出来ることがないかと悩まれている方はまず読んでみるのをおすすめします。
内容の濃い本なので時間がない方はこのブログの記事でよいと思いますが(もちろんこの本の内容もはいっています)、これから出産を控えている妊婦さんで時間のある方はぜひ読んでいただきたいです。

写真は以前にも紹介した愛鷹広域公園です。蛍の観察やサワガニ、カエル、大量の虫の採集が楽しめます。我が家でも本物の体験や経験をとても大切にしています。

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