前回の続きになります。
この記事の目次
食品における小麦タンパク質の含有量の差について(うどんと沖縄そばの違い)
卵や牛乳と異なり、小麦は麺類を嫌がるお子さんが少ないことから基本的には食べやすいです。しかし、食品によって小麦タンパク質の含有量が異なることに注意が必要です。
文部科学省発行の日本食品標準成分表を確認すると、基準となる生うどん(ゆでめん)は小麦タンパク質を2.6%含有します。
ですが、沖縄そば(ゆでめん)は5.2%となりうどん20gの摂取と沖縄そば10gの摂取は同等となります!
同じ麺類なのにタンパク質含有量が違うので注意が必要です!!
下記にその食品のタンパク質の一覧をのせます。
食品 | タンパク質含有量(%) | 食品 | タンパク質含有量(%) |
干しうどん(ゆでめん) | 3.1 | 中華麺(ゆであがり) | 4.9 |
生うどん(ゆでめん) | 2.6 | 即席中華麺 | 10.1 |
沖縄そば(ゆでめん) | 5.2 | マカロニ・パスタ (ゆであがり) | 5.2 |
食パン | 9.3 | ぎょうざの皮 | 9.3 |
ロールパン | 10.1 | 薄力粉 | 8.0 |
クロワッサン | 7.9 | 強力粉 | 11.7 |
小麦アレルギーの基本はうどんの負荷になります。
うどん以外の小麦食品を摂取し、知らない間に小麦タンパク質をあげすぎているということがないように注意したいですね。
最後に負荷量にあわせたおおよその代替食品を提示します。
表を参考に小麦の摂取を継続していきましょう。
うどん2g相当 | 調味料のみ |
うどん15g相当 | クッキー、ビスケット1枚 |
うどん50g相当 | パン1/4枚、餃子2-3個 |
うどん200g相当 | 6枚切り食パン1枚、パスタ40g(0.4人前) |
食事指導について
小麦アレルギーの場合は主食を米にすることで栄養面の心配はありません。
米のアレルギーは頻度が低いためほとんどの方が食べられます。
また、小麦粉の代わりに米粉を使用することで多くの料理を代替して作ることが出来ます。
ただし、市販されている米粉パンはかなりの頻度で小麦グルテンが含有されているので原材料を必ず確認してください!
揚げ物などは、パン粉の代わりに片栗粉を使用したりすることで代替します。
醤油などの調味料は小麦が極微量含有されていますがアナフィラキシーをきたすような重症児でも摂取可能であることが多いです。
ただし、塩分が多いため口の周りの赤みが出やすいため注意が必要です。
小麦アレルギーと反応する他のアレルギーについて
小麦はイネ科の植物であることから、米、大麦、ライ麦、トウモロコシ、キビ、アワ、ヒエなどのイネ科植物由来のタンパク質と反応することがありますが頻度は低いです。
大麦、ライ麦の麦類は20%程度反応すると報告1)もあります。
麦茶は摂取可能である可能性が高いです。
学校によっては麦ごはんが給食で出る可能性があるので、小学生の場合はあらかじめ負荷試験で確認したほうがよいです。
またイネ科の花粉症(カモガヤ、ハルガヤ、オオアワガエリなど。関東では4月から10月くらいまで花粉が飛びます)がある方は小麦の摂取でアレルギーが出ることに注意する必要があります。
小麦のタンパク質の1つはバラ科のタンパク質と似ている構造をもつため、モモやウメ(その他、リンゴ、サクランボ、ナシ、イチゴ、ビワなどいろいろあります)などのバラ科の食品とのアレルギーも注意する必要があります。
ただし、これらは実際に出るかは試してみないとわかりません。
摂取して問題なければ過度に心配する必要はありません。
その他の小麦粉関連について
パン職人喘息といわれる職業病も存在します。パン、菓子、ピザ、製粉業など小麦粉を扱う職種の商業病の1つで、小麦粉を毎日吸い込むことで喘息や鼻症状を呈するものです。これは成人でみられるもので、小児に特有でないため今回は省略します。
まとめ
3回にわけて説明しました。
基本は卵、牛乳アレルギーと同じです。アレルギー治療の基本は変わりませんので、そちらのブログの記事も参考にしていただければと思います。
食べられる量を確認しながら自分のペースで摂取を進めていきましょう。
写真は娘がストライダーのソリで遊んでいるところです。
上手に滑りおりニコニコ楽しんでいました。
1 Jones SM, et al : Immunologic cross-reactivity among cereal grains and grasses in children with food hypersensitivity. J Allergy Immunol 96 : 341-351, 1995.
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