小児COVID-19に関する論文の紹介 vol.3(6月18日現在) 

情報が更新されていますので周知させていただきます。

小児COVID-19による死亡者の割合について

COVID-19発生から5月8-19日までの、小児死亡数を7か国(米国・英国・イタリア・ドイツ・スペイン・フランス・韓国)でまとめました。その死因による死亡数を疾患によって比較した報告です。
年齢は0歳から19歳です。
小児COVID-19感染者42846例中の死亡は44例(0.03/10万)でした。
同期間の全小児死亡者は13200例(9.62/10万)あり、死因は、予期せぬ外傷が1056例(0.77/10万)、下気道感染症が308例(0.22/10万)、インフルエンザが107例と報告されています。
全死亡者に占めるCOVID-19による死亡者の割合は0.333%でした1)

この報告は実際の論文の表をみていただきたいです。下記に示します。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7260492/pdf/main.pdf

韓国は死亡者0人なのに対し各国10人前後すつ死亡者がみられています。
日本でも現時点で小児のCOVID-19による死亡者は0です。
なぜアジア圏だけ死亡者が少ないのかは謎が深まるばかりです。

COVID-19に伴う学校閉鎖について

アイルランドにおいて、COVID-1における小学校及び中学校の関与を調査した報告です。
学校閉鎖が行われる前のCOVID-19の発症状況を調査した結果、3人の小児と3人の成人が感染者と同定されました。
この6人全てで学校外における感染であることが確認されました。
(1件は旅行関連、3件は家庭内発生でのちに旅行関連と同定。2件はレクリエーションで確認されたケースとのこと)
そして、この6人と学校内での接触のあった1025人については感染が確認されませんでした。
学校の活動は体育や音楽の授業(合唱の練習を含む)がありました。
著者は、感染防御のガイダンス(WHOやUNICEFが提唱)にそえば、COVID-19感染に関しゼロリスクとはならないが、学校環境は低リスクであると述べています2)

その他、学級閉鎖に関しては複数の論文をまとめたシステマティックレビューでも、学校閉鎖がCOVID-19の感染制御に寄与していないと報告しています。
学校閉鎖は、親の休業による経済的影響、親が医療従事者であった場合の医療レベルの低下による患者死亡率上昇、元々COVID-19重症化のリスクが高い祖父母への孫からの感染拡大、低所得国における社会・経済・健康に関する不平等など、その潜在的な悪影響が無視できないと報告している論文もあります3)

小児の感染経路は家庭内発症が多い 

COVID-19小児例の家庭内発症に関する報告です。
ジュネーブ大学病院(スイス)でRT-PCRによりCOVID-19感染症が確認された計4310例のうち16歳未満の39例(0.9%)を対象に追跡調査が行われました。
調査対象となった児で家庭内接触のあった方は111人:母親(n = 39)、父親(32)、小児期の同胞(23)、大人期の同胞(8)、祖父母(7)でした。
79%(31/39例)は児の発症前に成人の家族が発症しました。
一方、どの家族よりも前に発症した児はわずか8%(3/39例)でした。
接触のあった家族で発症したのが小児で43%(10/23)に対して、成人で85%(75/88)でした。
また、母親の92%(36/39)が発症したのに対し、父親は75%(24/32)でした4)

同様の論文が複数みられています。
小児からのCOVID-19の感染経路に関する論文のシステマティックレビューでは、小児はCOVID-19患者のほんの一部であり、多くは親、兄弟と接触があったと報告がされています。
小児はCOVID-19のパンデミックに主要な役割を果たしておらず、学校や幼稚園が再開されても高齢者のCOVID-19による死亡率には影響を及ぼさないと著者は報告しています5)

小児患者が少ないのはACE2が少ないから

小児のCOVID-19患者が全体の2%未満であるのは、COVID-19のレセプターであるangiotensin-converting enzyme 2 (ACE2)の発現が成人とは異なるからではないかといわれています。
その仮説を証明するために、気管支喘息の研究目的でかつて採取保管された4-60歳の喘息患者の鼻粘膜上皮を用いて、年齢によるACE2の発現の相違を分析した報告です。
その結果、ACE2の発現は小児で最も低く、年齢が高くなるにつれて発現量が多くなりました(性別と喘息の有無で調整)。
この年齢依存性のACE2発現レベルの違いが、小児のCOVID-19患者が少ない理由かもしれません6)
実際にイスラエルの報告があるので紹介します。

COVID-19感染症における小児の役割を明らかにするため、家族内感染が考えられた家族全員(初発患者除く)のPCR検査を行い、感染率を検討した研究です。
13の家族について検討し、18歳以上の陽性率は58.1%(21/36)、5~17歳の陽性率は32.5%(13/40)、5歳未満の陽性率は11.8%(2/18)であり、小児への感染率が低いことが示されました7)
これもACE2が少ないことが起因しているのかもしれません。

社会的隔離が子ども達の精神衛生に与えた影響について

健康な小児期から思春期の子ども達から自己申告された孤独の評価に関わる論文83件中63件(51576人)のまとめです。
社会的隔離や孤独は、うつのリスクを増大させ、不安感を助長する可能性がありました。
この社会的隔離が継続すると、その罹患率が増加する可能性があります。
これは年齢により差はありませんでした。
イギリスでは、1500人以上の両親を対象としたオンライン調査で、COVID-19に関連する不安感が高レベルであり、年長の子供(11〜16歳)よりも年少の子供(4〜10歳)の方が有意であったと報告しています。
また、精神的な症状発生には孤独の程度よりも持続期間がより強く関連していました8)

まとめ

今回COVID-19の死亡数に関しての詳細な報告が初めてされました。
この論文は今後他の疾患と比較する際の基準となると思われます。

次に学級閉鎖に関する論文です。
日本では6月から学校が再開となり、北九州市の小学校でクラスターが発生したとニュースとなっています。
世界と日本は違いますので全てが当てはまるとは言えませんが、慎重に集団生活を再開していくべきなのでしょう。

次に感染経路に関してです。小児では圧倒的に家族内感染が多いことがわかりました。
そのため、子どもを守るために我々大人が感染対策を徹底的に講じることが重要であるということが再認識された形です。

最後にCOVID-19とこころの問題に関してです。
実際に当院では、チック症状が悪化したり、頻尿のような症状がでたり、おもらしをしてしまったりという相談が増えています。それ以外にも、頭痛や腹痛、昼夜逆転、便秘の悪化等も増えています。関連しているかもしれません。
もちろん精神的な問題でないこともありますので検査が必要ですが、学校が再開し症状が消失したお子さんも多数おられます。
お子さんの体調を丁寧に観察していただき、変化があれば電話受診も可能ですのでお気軽に相談ください。

写真は、富士宮市にある馬飼野牧場、富士山テラスからの眺めです。
この牧場はヤギとお散歩が出来たり、馬に乗れるだけでなく、ウシの赤ちゃんにミルクをあげたりもできます。この牧場でいただけるソーセージとチーズケーキは激ウマでした。

最後に本日の報告です。
私がもし感染してしまったら皆さんに迷惑をかけてしまうと思い、不要不急の行動を自粛していました。
悩んだ末に5ヵ月間我慢していた美容室に本日行きました。
店内に他の客はいませんでした。バリカンでガンガン刈りますので35分で終了です。
あっさりと終了しました。そして、美容室でも感染症対策を講じていました。
今ではスーパー等、他施設でも当たり前の光景ですね。

当クリニックでも、N95マスクにアイシールド、手袋を使用しています。
発熱の方は暑くて申し訳ないのですが、外で診察をさせていただいています。
安心して受診できるよう引き続き感染対策を継続していきます。

1) Bhopal S, Bagaria J, Bhopal R. Children’s mortality from COVID-19 compared with all-deaths and other relevant causes of death: epidemiological information for decision-making by parents, teachers, clinicians and policymakers. Public Health. 2020 May 30;185:19-20.
2) Heavey L, Casey G, Kelly C, et al. No evidence of secondary transmission of COVID-19 from children attending school in Ireland, 2020. Euro Surveill. 2020 May;25(21):2000903.
3) Esposito S, Principi N. School closure during the coronavirus disease 2019 (COVID-19) pandemic.An effective intervention at the global level? JAMA Pediatr. Published online May 13, 2020.
4) Posfay-Barbe KM, Wagner N, Gauthey M, et al. COVID-19 in Children and the Dynamics of Infection in Families. Pediatrics. 2020 May 26 : e20201576.
5) Ludvigsson JF. Children are unlikely to be the main drivers of the COVID-19 pandemic – a systematic review. Acta Paediatr. 2020 May 19.
6) Bunyavanich S, Do A, Vicencio A. Nasal Gene Expression of Angiotensin-Converting Enzyme 2 in Children and Adults. JAMA. 2020 May 20. doi: 10.1001/jama. 2020. 8707.
7) Somekh E, Gleyzer A, Heller E, et al. The Role of Children in the Dynamics of Intra Family Coronavirus 2019 Spread in Densely Populated Area. Pediatr Infect Dis J. 2020 Jun 1.
8) Loades ME, Chatburn E, Higson-Sweeney N,et.al Rapid Systematic Review: The Impact of Social Isolation and Loneliness on the Mental Health of Children and Adolescents in the Context of COVID-19. J Am Acad Child Adolesc Psychiatry. 2020 Jun 3:S0890-8567(20)30337-3.

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