今まで卵、牛乳のアレルギーの説明をしてきました。今回のテーマは小麦アレルギーです。
同様に1つずつ説明していきます。
この記事の目次
はじめに
小麦アレルギーは卵、牛乳についで3番目に発生頻度が多い食物アレルギーであることがわかっています。
小麦アレルギーには離乳食の摂取開始時期に発症するパターンと、今まで小麦を摂取しても無症状で経過していたにも関わらず学童期以降にいきなり症状が出る(特に運動誘発アナフィラキシー)パターンの2タイプあることがわかっています。
この2タイプがなぜおこるのかはわかっていません。
そして、運動誘発アナフィラキシーの報告頻度が1番なのが小麦です。
そのため注意して食物負荷試験をする必要がある食品と言えます。
小麦のアレルギー成分について
小麦はイネ科の植物で、世界で最も生産量の多い穀物です。
小麦のタンパクは大きく塩可溶性タンパク質(非グルテン)と塩不要性タンパク質(グルテン)にわけられます。
グルテンフリーダイエット等でグルテンという単語は聞いたことがあるかもしれません。
この2つのタンパク質のうちの約40種類が小麦アレルギーの原因になることがわかっています1)。
塩不要性タンパク質の中のω5-グリアジンという物質のみが小麦アレルギーの採血で確認出来る項目になります。
小麦の加工による変化について
小麦は生で食べることは基本的にはなく、パンや麺に加工調理されます。
しかし、加熱してもあまり抗原性が変わらないことが知られています。
成人の小麦アレルギー患者において、生と加熱調理した小麦の摂取で、アレルギー反応に差がないという報告2)や、小麦の調理でタンパク質の構造に調理前後で変化がないという報告3)があります。
小麦アレルギーの診断について
卵、牛乳と同じく、小麦の含まれている食品を食べてアレルギー症状が出たことを確認することが基本となります。
ただし、離乳食をあげて症状がでた場合は小麦アレルギーに交じって卵や牛乳アレルギーを合併していることが多いため注意が必要です。
最も多いのが、パン粥を初めてあげて皮疹がでた時などです。
パンには卵、牛乳、小麦の3大アレルゲンが全て含まれています。
そのため、初めて小麦をトライする場合は、うどんやそうめんなどの小麦を含むものをごく少量から与えるのがよいと思います。
以上になります。次は血液検査の解釈について説明していきます。
写真は静岡県にある大井川鉄道のトーマス号です。
とても大きい本当の蒸気機関車なので、家族全員で大興奮でした!
東京からは遠いですが、お子さんがトーマス好きであれば1度トライしてみる価値はありますよ。
1 Matsuo H, et al : Common food allergens and their IgE-binding epitopes. Allergol Int 64 : 332-343, 2015.
2 Scibilia J, et al : Wheat allergy : a double-blind, placebo-controlled study in adults. J Allergy Clin Immunol 117 : 433-439, 2006.
3 Pastorello EA, et al : Wheat IgE-mediated food allergy in European patients : alpha-amylase inhibitors, lipid transfer proteins and low-molecular-weight glutenins. Allergenic molecules recognized by double-blind, placebo-controlled food challenge. Int Arch Allergy Immunol 144 : 10-22, 2007.
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