ここ最近、出張等で海外に移住することになったためワクチン接種を行いたいという相談が増えてきています。
新型コロナウイルスの影響でなるべく自宅から近い当クリニックでワクチンを打ちたいという希望が多いため、可能な範囲でワクチン接種を行っています。
そこで海外に渡航する際の必要なワクチンやその疾患についてまとめます。
以前に飛行機に乗る際の注意点Vol.2で「渡航ワクチンについて説明をします」と記載しましたが、なかなか投稿出来ずモヤモヤしていました。やっと投稿です!
そして、ブログの記事をスマホで見ると文字数が多いとのアドバイスがありました!
なので少しずつわけて投稿していきますね。
この記事の目次
はじめに
発展途上国に1か月以上滞在する場合、何かしらの健康問題が半数以上に発生するといわれており、下痢や感冒の頻度は20-30%おきるといわれています1)。
水や食べ物に関連した下痢やA型肝炎の感染症が最も多く、マラリアやデング熱などの蚊が媒介する疾患と続きます。
感染症以外にも、高地に行く際は高山病、スキューバダイビングなどに伴う潜水病、飛行機によるエコノミー症候群、乗り物酔い等も注意すべき点となります。
どの国に行くかで接種するワクチンが変わる
海外渡航の際はまずどのワクチンが必要になるかを選ぶ必要があります。
インターネットで厚生労働省検疫所/FORTH(FOR Traveler’s Health)、「海外で健康に過ごすために」https://www.forth.go.jp/index.html
を確認ください。
そのサイトに地域毎に必要なワクチンが詳細に記載されています。
日本で受ける事が出来る定期接種のワクチンは他の多くの国でも必要なものです。
特に麻疹、風疹、水痘、流行性耳下腺炎(おたふく)は必ず必要となりますので接種をおこなってください。
多くがインドを含む東南アジアへの渡航の相談でしたので具体的に紹介します。
A型肝炎、破傷風、狂犬病、日本脳炎、腸チフス、麻疹、長期間となればB型肝炎の接種を行います。
インドネシア、中国ではポリオの発生があり、ポリオワクチンの接種も行います。
小児においては、生後2か月からB型肝炎と4種混合ワクチンの接種が始まりますので、B型肝炎と破傷風、ポリオは問題ありません。
日本脳炎は3歳からの接種ですが、生後6ヵ月から接種が可能です。
麻疹はMRワクチンとして1歳から接種可能です。
そのため小児ではA型肝炎、狂犬病、腸チフスのワクチンが必要となるわけです。
成人に関しては、小児期に接種したワクチンから期間が空いていますので、追加接種を1回行うことになります。
(具体的には破傷風ワクチン、日本脳炎ワクチン、ポリオワクチン、麻疹・風疹(MR)ワクチンを接種することになります)
成人に関しては麻疹が輸入感染症として国内に持ち込まれる例が多いため最優先のワクチンと言えます。
腸チフスは日本では未承認のワクチン
腸チフスワクチンは渡航の際に必要となりますが、日本では製造されない未承認のワクチンになります。
日本未承認のワクチンはその他コレラ、ダニ媒介性脳炎があります。
これらのワクチンは海外で接種するか、個人輸入を行っている医療機関を受診するしか方法はありません。
現状当クリニックでは個人輸入をおこなっていませんので、これらのワクチンを接種する場合はトラベルクリニックを受診する必要があります。
逆に、これらのワクチン以外は当院で予定を組んで接種することが可能です。
次回に続きます。
写真は川遊びに行った際のものです。兄弟で性格の差がでています。
魚やアメンボの捕獲に必死になる姉の傍ら、リラックスしてボートに横たわりリゾートしている弟。笑
おもしろいです。
1) Steffen R, et al. Health problems after travel to developing countries. J Infect Dis. 1987 ; 156 : 84-91
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