前回の続きです。本日の内容は、
飛行機内での急変は熱性けいれんが1番。けいれんの既往のあるお子さんは、飛行機に乗る際に発熱がないかを今一度確認する。
よくドラマ等で、飛行機内で具合の悪くなった時「どなたかお医者様はいらっしゃいませんか」というドクターコールのシーンを見た方がいると思います。
2009年から6年間、10歳未満の小児に対して、実際にドクターコールがあった件数は、国内線で31件、国際線で52件あったと報告があります1)。
そのほとんどが0-6歳であり、熱性けいれん、発熱、外傷が原因のベスト3でした。
しかしその半数以上を、高熱を伴う熱性けいれんが占めていました。
そのため、熱性けいれんに罹患したことがある児は、搭乗前に今一度感冒症状がないかを確認する必要があります。
その他、嘔吐、下痢、呼吸困難、腹痛もみられています。
これらの症状は前回の回で説明しましたので、確認してみてください。
誤飲、火傷、喉に異物を詰まらせたというものも少数ですがあります。外傷では、座席のひじ掛けや座席ベルトの金具、収納テーブルの収納口、トイレの扉などに指を挟むということが多いようです 2)。
火傷は親御さんに渡した熱い飲み物に乳児が手を出して熱傷となります。
どれも注意したいですね。
最後に飛行機に乗れる適応の再確認です。
まず、多くの航空会社は生後8日から搭乗可能であると表記しています。
そのため、里帰り分娩後に退院してすぐに飛行機に乗ること自体は可能です。
ですが、最低でも1か月健診をおこなってからが望ましいと思います。
搭乗に適さない状態というのは、世界保健機関(WHO)のInternational Travel and health、国際航空輸送協会(IATA)が表明しているものがあり、それを参考に航空会社は独自の基準があります。そこに記載があるものは、
・学校の出席停止となる疾患で基準を満たしていない場合
・妊娠36週以降
・狭心症のある方
・スキューバダイビング後の減圧症等が記載されています。
基礎疾患のある方は主治医と相談することが必要です。けいれんの屯用薬、喘息の発作時の治療薬、食物アレルギーのエピペンの持参、また1型糖尿病の方のインスリン等です。
空港や機内で酸素を使用したり、針を使用したりする場合はMEDIF(medical information form)という書類を記載することになっています。必要なかたは所定のフォームを持参していただき主治医が記載します3)。
2回にわけて飛行機に乗る際の注意点を説明しました。
入念に準備をして楽しい旅行にしましょう。
2018年秋、海外学会発表のためフィリピンに子ども2人を連れて飛行機に乗りました。
その時下の子は6か月でした。
フィリピンに行く際は飛行機内の心配もありましたが、現地での感染症も非常に気になりました。
海外に行く時に打つべきワクチンの説明も今後予定しますね。
今日はクリスマスでしたね。みなさんのところにサンタさんは来たでしょうか?
メリークリスマス!!
1) 佐藤菜保子ら : 航空機内における小児救急例の検討. 第19回日本渡航医学会学術集会プログラム. p18. 2015
2)BOOK.https://www.jal.co.jp/dom/support/smilesupport/img_sites/baby_soratabi_1.pdf
3) https://www.jal.co.jp/jalpri/common/pdf/pdf-medif_jal.pdf
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