標榜診療科と専門医資格との違いについて:小児科クリニックの選び方

私は小児科専門医として全力でこの地域の小児医療に貢献したいと思って開業をしました。
小児アレルギー、特に食物アレルギーの相談に親身になっておこたえしたいということもあったので、私にとっては専門医を取得している「小児科、アレルギー科」この2つだけで標榜診療科は十分でしたが、専門医取得の有無は関係ないと保健所よりご指摘をいただきました。

そこで標榜診療科について勉強してみたところ、新しく知ったこと、その他の小児科の先生がすでに言及していることを少しまとめてみましたので、小児科クリニックの選び方の参考として確認していただければと存じます。

標榜診療科とは

患者が誤解せずに、正しい診療が受けることができるように、医師は自身の専門分野である標榜科名を掲げる必要があると記載があります。

病院やクリニックのWebサイト、看板、入り口等に小児科、アレルギー科と言うように診療科が書いてあるのを見ることがあると思います。これらを「標榜診療科」とよびます。

この標榜診療科は、医師もしくは病院クリニックが自分達で医療法に準拠した範囲で自由に標榜することができます。

つまり医師自身の得意領域として自由に科を標榜してよいということです。
(お恥ずかしいことに、自由に科を標榜してよいということを私は知りませんでした。)

標榜診療科のルール

自由に標榜することが出来る科は以下のとおりです。

内科、外科、精神科、アレルギー科、リウマチ科、小児科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科(産科、婦人科)、眼科、耳鼻いんこう科、リハビリテーション科、放射線科(放射線診断科、放射線治療科)、病理診断科、臨床検査科、救急科

これらの科は専門医の取得にかかわらず自由に標榜してよいということでした。

そのため、制度上はこれら全部の科を標榜してよいということになります。そして、患者の特性(たとえば小児)と組み合わせて標榜することが可能だそうです。

小児科は耳鼻いんこう科、皮膚科、眼科と密接にかかわっています。むしろ初期治療は小児科がおこなうことが多いでしょう。
とすれば、
小児皮膚炎、小児耳鼻いんこう科、小児眼科と当院で標榜することも可能です。(もちろんしないですよ)

というか、サンスカイのと小児科クリニック (内科、外科、精神科、アレルギー科、リウマチ科、小児科、、、)と標榜しても医療法上問題はないようです。(もちろんしません)

さて、標榜診療科の説明をしました。では専門医とは何なのでしょうか。

専門医とは

小児科学会の専門医のページに概要がのっています。

小児科専門医は小児保健を包括する小児医療に関してすぐれた医師を育成することにより、小児医療の水準向上進歩発展を図り、小児の健康の増進および福祉の充実に寄与することを目的とし、所定の卒後研修を修了した会員に対し、試験を実施し資格を認めている。資格は5年ごとに審査のうえ更新される。

アレルギー学会の専門医のページでも同じようなことが記載されています。

難しいことが書いてありますが、まとめると、医師の診療の質を担保し標準化するためにつくられた資格のことです。

専門医を取得するには、専門医研修指定施設において一定期間のしっかりとした専門研修を受ける必要があります。その後、審査(大量の症例レポートの提出)や試験を通じて診療能力を証明することが求められます。

小児科専門医もアレルギー専門医も取得は正直大変でした。。。

標榜診療科についてその他の先生の意見:小児科クリニックの選び方

このような視点で標榜診療科について考えることが初めてでしたので、インターネットで検索したところ様々な小児科クリニックの先生が意見をされていました。

  • グリムこどもとアレルギーのクリニックさん(アレルギー界では超有名クリニック!)の標榜についての記事を引用します。

「アレルギー科」「小児科」と看板やホームページに書いてある病院・クリニックをよく目にすることと思います。日本は、研修した診療科に限らず自由に診療科を標榜してよい制度になっているため、内科・循環器科・アレルギー科だったり、内科・消化器科・小児科のように様々な診療科を標榜している医療機関が少なくありません。
医療機関の上手な受診の仕方は、その先生の専門分野を知ることが大切です。その先生が仮にアレルギーを専門に勉強しているならば、最低でも「日本アレルギー学会認定専門医」を、また、小児を専門に勉強しているならば「日本小児科学会認定専門医」を獲得していると思います。そのような掲示を院内にしているかどうかはその先生の診療の質を確認する上での方法のひとつです。誤解のないよう申し上げておきますが・・・・・・・・・・
小児科や内科の医師の中にもアレルギー科に大変優れた経験と知識をお持ちの先生もおられます。決して専門医以外の医師は好ましくないという意味ではありません。その点改めて一言添えさせていただきます。
https://grimm.hp.gogo.jp/pc/free11.html

と記載されています。

  • 中村橋いとう内科クリニックさんの小児科と内科についての記事を引用します。

一般的には「小児科・内科」の順で記載されている場合は小児科の先生が大人も診療する場合、「内科・小児科」の順で記載されている場合は内科の先生が小児科の診療も行っている場合が多いようです。
標榜科に関しては注意点もあります。クリニックや診療所に掲載されている標榜科は、その科に対する専門性を持っていなくても「診ることができる」とその医師が思ってさえいれば標榜する事が出来ます。
何年か前にアレルギー学会で埼玉医大の永田真教授が「都内でアレルギー科を標榜しているクリニックの大半がアレルギー専門医を持っていないどころか、アレルギー学会員ですらない」といった調査結果を講演していました。当然アレルギー診療の質は落ちる事が予想されます。
おそらく同様に「内科・小児科」という標榜があったとしても、ちゃんと小児専門医の資格を持っていたり、小児科学会に参加して研鑽を積んでいる先生は少なく、小児科診療の質が落ちる事が予想されます。

と記載されています。https://itoito-clinic.com/blog/%E5%B0%8F%E5%85%90%E7%A7%91%E3%81%A8%E5%86%85%E7%A7%91%E3%81%AE%E9%81%95%E3%81%84

  • キャップスクリニックさんの小児科クリニックの選び方のサイト記事を引用します。

小児科専門医による診療ですか?
みなさまは、医師であればどんな疾患、どんな年齢層でも診察ができると思っていませんか?たしかに医師免許があれば、どんな診療科も標榜できますし、治療することもできます。

しかし、それぞれの科には専門医制度というものが設けられていて、その科で習得すべき症例や知識を身につけ、その科に必要な研修期間を経て、専門医試験を受け、ある一定の基準を満たした者に専門医の資格が与えられます。

特に子どもを見る医師にとって小児科専門医の存在は特別です。生まれたての新生児から、20歳以上の大人までさまざまな症例を経験し、それぞれの年齢、成長過程に特有の疾患や体の特性を理解した治療が必要なのです。子どもは大人を小さくしただけの存在ではありません。このことを理解することが小児科を標榜する上でとても重要なことなのです。

「内科・小児科」を標榜するクリニックで内科を専門とする医師が小児科を見ているケースを多く目にします。しっかりと小児科の勉強と研修を受けた先生もいらっしゃるのですが、大人の延長として子どもを見ているケースが多いです。そういったクリニックで治療を受けた場合、後日小児科専門医がいるクリニックや病院を受診した際に、子どもには使わない薬を使っていた、子ども特有の疾患を見逃していた、といったことが発覚する恐れがあります。

お子さまに適切な医療を受けてもらうためには、しっかりと小児科の研修を受け、知識を備えた小児科専門医を受診することが必要です。ホームページやパンフレットなどで確認してみましょう。また、わからない場合には直接医療機関へ問い合わせてみることもいいでしょう。

と記載があります。全文は添付の記事を確認いただければと思います。

サンスカイのと小児科クリニックの院長は専門医を本当に取得しているの?

さて専門医を取得しているかは各学会のホームページから検索することができます。各学会の画像に検索サイトのリンクを私の名前入りで張りましたのでぜひ確認いただければと思います。

小児科専門医の検索サイト

(画像をクリックで専門医名簿サイトにとびます)
アレルギー専門医の検索サイト

(画像をクリックで専門医名簿サイトにとびます)
クリックして検索すると、、、

とヒットします。
私は小児科専門医とアレルギー専門医を取得していますのでご安心ください。

ただ、アレルギー専門医の施設変更をしてないことに今気が付きました。
すぐに変更しないとですね。

以上になります。

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