前回の続きになります。
この記事の目次
血液検査の解釈について
卵、牛乳同様にプロバビリティーカーブ1)が小麦も存在します。
採血の数値を当てはめることでおおよその症状誘発の可能性を推測します。下記図をご覧ください。
小麦のプロバビリティーカーブをよくみると、年齢が1歳を超えると症状誘発の可能性が80%を超えません。
そのためω-5グリアジンを併用することでより診断精度をあげて対応します。
もしω-5グリアジンが3UA/ml以上であれば約9割の可能性で小麦アレルギーの症状が誘発されということがわかります。
ただし、血液検査はあくまで参考ですので陰性であっても小麦アレルギーが否定されるわけではありません。
約3割の小麦アレルギーの児が採血で陰性であるという報告もあり注意が必要です。
小麦アレルギーの除去解除について
除去解除の指標は年齢相当の1食分を食べても症状が出ないという量が望ましいとされています。
一般的にうどん200g、6枚切り食パン1枚とされています。
ですが麺類を嫌がる子どもは少ないので、多い場合はうどん換算で400g近く摂取して大丈夫かどうかを判断することもあります。
食物経口負荷試験について
卵は食物アレルギー診療ガイドライン2016(2018年改訂版)に沿って説明しましたが、現在はアレルギー疾患の手引き2020年改訂版が出ていますのでそれに沿って説明します(実際中身は変わりません)
まず今まで小麦をどのくらい食べられていたかを確認します。ガイドラインでは少量、中等症、日常摂取量の3段階で設定されています。下記表を確認ください。
小麦の負荷はうどんが基本になります。
摂取量 | 小麦 |
少量 (low dose) | うどん2-3g |
中等量 (medium dose) | うどん15-50g |
日常摂取量 (full dose) | うどん200g 6枚切り 食パン1枚 |
今まで食べられていた量と採血の結果を検討して摂取量を決定します。
このうち少量であるうどん2gで症状が出る場合は完全除去となります。
中等量を摂取し症状が出た場合は、そのお子さんが食べられる範囲の摂取を継続し半年から1年後に再度食物経口負荷試験をおこない、食べられる量を増やしていけるかを確認します。
この流れを繰り返していき、除去解除を目指します。
小麦に関しては、「はじめに」で説明した運動誘発アナフィラキシーの原因食物の1番です。
そのため小麦アレルギーに関しては無理して負荷量をあげることは危険ですし、摂取後の激しい運動は必ず控えるようにしてください。
以上になります。次回は食事指導について説明します。
写真は大井川鉄道の続きで、ジェームスもいます笑
1 国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)による食物アレルギーの診療の手引き2017 (研究代表者 : 海老澤元宏) 国立病院機構 相模原病院臨床研究センター
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