本日も食物アレルギーです。紹介する内容は、前回軽くお話ししたPETIT sturdyに関して、
皮膚症状を改善した上で、生後6か月から卵を少量から開始する!
皮膚症状が生後6か月までに改善していない場合、小児科医に相談し、まず皮膚症状を治療する!
という内容です。
PETIT sturdyの内容の説明です。
生後4-5か月のアトピー性皮膚炎のお子さんに対し 徹底的に軟膏で皮膚症状を改善したのちに、生後6か月から固ゆで卵の粉末を少量(0.2g)開始します。
生後9か月で増量(1.1g)し、1歳まで卵の摂取を継続します。1歳になった時点で全卵32gを負荷して、卵アレルギーの発症を確認しました。
結果は6か月から卵を摂取していない児と比較し、約80%卵アレルギーの発症を予防することが出来たという内容です。
そして、卵を摂取していても卵アレルギーを発症してしまったお子さんは1歳までに皮膚症状の改善がみられなかった児に限られていたことも報告されていました1)。
このPETIT sturdyでもやはりスキンケアの重要性が再度繰り返されたような形になります。
この研究結果から、2017年に日本小児アレルギー学会から「鶏卵アレルギー発症予防に関しての提言」が発表されました2)。
提言の詳細は、生後6か月前にアトピー性皮膚炎の診断がない場合、授乳・離乳の支援ガイドに準じた卵の摂取を開始する3)。
アトピー性皮膚炎の診断もしくは既往のある、生後6か月未満の子どもに対しては、生後6か月までにスキンケアの指導、場合によってはステロイド外用薬による加療を行った上で、生後6か月から微量卵を (医師の観察のもと) 開始することを推奨する、という内容です。
大事なポイントは6か月から微量の卵を摂取することであり、心配だからという理由で摂取を遅らせる事は推奨しないということです。
加熱が不十分だと抗原性が高く残ってしまいとても危険です。
すべての児に当てはまることではありませんので、少量でも症状がでた場合は、アレルギーに精通した小児科医に相談する必要があります。
この点は本当に注意してください!!
PETIT sturdyとこの提言は卵アレルギーの発症予防を目的としています。
治療を目指しておこなうものではありません。
そのため、既に卵アレルギーの診断がされていたり、食物アレルギーが関連するアトピー性皮膚炎の診断がされている児に卵を摂取することは非常に危険です。
必ず小児科医に相談の上、開始してください!!
授乳・離乳の支援ガイドを見ている親御さんはどれくらいいるのでしょうか。これもどこかで説明したほうがよいでしょうし、実際に卵を摂取するやり方も説明する予定でいます。
少しアレルギーの話が続いたので、次回は健診で小児科医が確認しているポイントについて書こうと思っています。
写真は、先日行った水族館の近くの海岸でお散歩をしたときのものです。
打ち寄せる波にキャッキャ言いながらはしゃいでいました。桜貝をたくさん見つけ、その日眠るまでひと時も離さずにずっと大事そうに貝殻を握っていました。その後、しっかり宝物ボックスに入れていました。
1) Natsume O, et al. Two-step egg introduction for prevention of egg allegy in high-risk infants with eczema(Petit) : a randomised, double-blind, placebo controlled trial. The Lancet 2017 ; 389 : 276-86.
2) https://www.jspaci.jp/uploads/2017/06/teigen20170616.pdf
3) https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/000496257.pdf
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